【復興特別版】「高田松原津波復興祈念公園」が起工 震災の記憶と教訓を後世へ、世界へ | 建設通信新聞Digital

4月25日 木曜日

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【復興特別版】「高田松原津波復興祈念公園」が起工 震災の記憶と教訓を後世へ、世界へ

施設イメージ

 わが国で初めて自然災害に対する国営の追悼・祈念施設が整備される、「高田松原津波復興祈念公園」の起工式が5日、岩手県陸前高田市気仙町の現地で開かれた。 復興祈念公園は、東日本大震災による犠牲者の追悼と鎮魂、震災の記憶と教訓の後世への伝承、国内外に向けた復興に対する強い意志の発信を目的に、岩手、宮城、福島の被災3県に整備する。
 このうち、高田松原津波復興祈念公園の全体面積は約130ha。その核となる国営復興祈念施設の敷地は約10haで、施設全体のゲートとしての役割を担う管理棟・道の駅「高田松原」の建物は、敷地中心部を東西に走る国道45号沿いに整備する。
 施設には国が整備する道路情報施設のほか、県の震災津波伝承施設、市の地域振興施設、国営追悼祈念施設の休憩所・貴賓室などを一体的に配置する。
 敷地内には、道の駅の建物のほか、築山に囲まれた追悼式典が可能な広場や人道橋を渡り防潮堤に上がって海を望む場なども整備する。同公園内にはこのほか、「震災遺構を活かした公園の顔となるゲート空間」や、「かつて市民に親しまれてきた憩いの場・運動施設等の活動空間」などの区域が設定されている。
 完成は2020年度末を予定しているが、19年のラグビーワールドカップ釜石開催も視野に、早期整備を目指す。同公園の実施設計はプレック研究所・復建技術コンサルタントJVが担当した。
 19日には、宮城県石巻市に設置される「石巻南浜津波復興祈念公園」の起工式が行われる予定だ。

鍬入れ

 この日の式典では、主催者を代表して田中良生国土交通副大臣があいさつに立ち「三陸沿岸地域のゲートウェイとして、津波防災文化を国内外に発信するとともに、この地域を周遊する拠点を国、県、市が連携して整備を進めていく。国土交通省としても被災地が地方創生の良きモデルとなるよう、復興の実現に向けて総力を挙げて取り組んでいくことを誓う」と話した。
 達増拓也岩手県知事は、「県では新年度から第3期復興実施計画をスタートさせ、復興後の地域振興も視野に入れながら事業を推進していく」と語り、戸羽太陸前高田市長も「市民にとって心の拠り所である高田松原地区に祈念公園が整備されることは、復興に向かう私たちにとって大きな励みとなる。自然の猛威によって亡くなられた方々に代わって私たちにできることは、故郷・陸前高田市を持続可能な町として一層発展させていくことだ」と決意を述べた。
 また、市震災復興計画検討委員会や国の同公園有識者委員会などで座長を務めた中井検裕東工大教授は「2度とこのような災害を繰り返さないため、三陸の津波防災文化を世界の人々に時を超えて伝えていくことが本公園の最大の使命だ」と、同公園整備の意義を語った。この後、代表者による鍬(くわ)入れが行われた。

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