【プロ目線に触れる】鳥取大生ら運営『ツナガルドボク』 学生対象にBIM設計コンペを開催 | 建設通信新聞Digital

4月19日 金曜日

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【プロ目線に触れる】鳥取大生ら運営『ツナガルドボク』 学生対象にBIM設計コンペを開催

 鳥取大学の学生らが運営する団体「ツナガルドボク」(事務局・地域価値創造研究教育機構)がBIMの知識を深めたいと、学生を対象にしたBIM設計コンペを企画した。「BIM大会」と題したコンペには9作品がエントリー。12日には大会協賛企業でもある美保テクノス(鳥取県米子市)の本社オフィスで講評会が開かれた。審査員が作品一つひとつに丁寧なアドバイスをし、学生にとってはプロ目線のBIMに触れる有意義な機会となった。

最優秀賞に輝いた上田諒也さんの提案


 建設業界でBIM導入が進展するにつれ、近年は大学教育でもBIMを使ったカリキュラムが広がりつつある。学生主催によるBIMコンペは全国でも例が少ない。ツナガルドボクは、BIM大会を通してより多くの学生にBIMの知識とともに、BIMソフトの操作にも慣れてほしいと準備を進めてきた。

 BIM大会には、コロナ禍での開催とあってオンラインでの参加もあり、会場には約20人が出席した。冒頭にあいさつしたツナガルドボク代表メンバーで鳥取大工学部社会システム土木系学科2年の川崎蒼さんは「BIMを通してみんなで何か一緒にやりたかった」と趣旨を説明、続いて美保テクノスの野津健市社長が「当社は社を挙げて戦略的にBIMに取り組んでいる。審査委員を通してBIMの楽しさ、奥深さを知ってほしい」と呼び掛けた。

 コンペの課題は、鳥取市の湖山池公園を一望する「湖畔のカフェ」。規模も構造も自由だが、BIMソフト『Revit』で描くことを条件とし、Revitデータを元にしたレンダリングソフトやレタッチソフトの使用も可能とした。協賛企業の美保テクノスと応用技術(大阪市)がヘルプデスクとなり、学生から寄せられた技術的な支援を行ってきた。計画地の3次元モデルについても美保テクノスから参加者に提供された。

 審査員は、熊本大学の大西康伸准教授、美保テクノスの新田唯史BIM戦略部部長代理、応用技術の高木英一執行役員 toBIM推進部長、高取建築情報化コンサルティングの高取昭浩代表が務めた。9作品すべてに対して、審査委員それぞれが講評するとともに、プロの視点から的確なアドバイスを送った。

 大西氏は建築技術の視点から作品を評価し、「自分の作品に込めた思いをストレートに表現してほしい」と助言。新田氏は工夫が見られる部分を評価しながら「プレゼンテーション資料の作り方としてもっと訴えかける表現にした方が良い」とアドバイスした。高取氏は「建物内から外に向かってどういう広がりがあるかをモデルで示す工夫が大事」と、エントリー作品すべてのBIMモデルに対し、実際にRevitを使ってモデリングのポイントを解説。高木氏は自社の技術スタッフから集めた意見を交えながら「建築の素晴らしさを伝えるツールとしてBIMを有効に使ってほしい」と呼び掛けた。

 最優秀賞は長期滞在型のカフェを提案した鳥取大2年の上田諒也さん、優秀賞にはコワーキングスペース併用型の カフェを提案した鳥取大2年の吉井隼さんが選ばれた。表彰式で最優秀の上田さんは、講評会で助言されたことを振り返りながら「これからは細かな部分まで心掛けたモデリングを実践していきたい」と話した。

 ツナガルドボク代表メンバーで鳥取大工学部社会システム土木系学科3年の春山神紀さんは「長い時間をかけて大会の準備を進めてきた。美保テクノスなど協賛企業の後押しもあって、無事に大会を終了することができた。今後も続けていきたい」と、大会を締めくくった。

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