鹿島の押味至一代表取締役会長兼社長と6月下旬に社長就任予定の桐生雅文常務執行役員横浜支店長は12日、東京都千代田区の帝国ホテルで会見した。入社後、約35年間にわたって建築現場を歴任し、同社を代表する大規模プロジェクトである東京ミッドタウン日比谷の工事では所長を務めた桐生次期社長。1月に急逝した天野裕正前社長が掲げたプロジェクト管理の強化や建設バリューチェーンの拡大といった方針を引き継ぎ、「施策をさらに一段高いレベルへと引き上げていく。そして何よりも社会やお客さまに信頼され、社員がやりがいを持って働ける会社を目指していきたい」と意気込みを語った。
当面の建設需要を堅調と見る一方で、労働力不足には強い危機感を抱く。「生産性の向上なしに業績の維持や拡大は難しい。AI(人工知能)やデジタルツール、BIMを最大限活用するほか、自動化施工やロボット技術を取り入れることも必然の流れだ」と説明。業界や国を超えたスタートアップ(新興企業)や大学との協業にも意欲を示した。
人材育成の面でも「天野前社長が進めてきたナレッジを個人のものから組織のものにする取り組みを継続し、昔は10年かけていた教育をこれからの世代には3-5年で伝えていく」と述べた。
デジタル化の重要性を指摘する一方、会見では現場経験に基づいた“人”への強い思いもにじみ出た。「私の強みは机上の空論ではなく、現場で実際に経験してきたことだ。現場で技能者が何を思い、どんな気持ちを込めてものづくりをしているかまで踏み込んで考えてきた。ただ契約の中で専門工事会社に仕事を発注するではなく、人と人とのつながりを大事にする。それを会社の経営に取り込んでいきたい」と力を込めた。
押味会長も桐生次期社長の関係構築力や利害関係の調整力を高く評価し、「持ち前の応用力と面倒見の良さで人心を掌握する姿を見てきた。グローバルに展開する企業グループのトップとして、さまざまな人材に多様な業務を任せ、束ねることができる」とその人柄に太鼓判を押した。
信条には「俺が俺がの『我』を捨てて、おかげおかげの『下』に生きよ」と「感恩報謝」を挙げた桐生次期社長。「今の自分があるのは自分一人の力ではない。周りの人に助けられて今の自分がある」という言葉どおり、グループやサプライチェーン全体の多くの力を結集し持続的成長を目指す。
