「八潮駅はどちらでしょうか」。日曜の昼下がりにバイパス道路沿いをランニングしていると、すれ違ったご高齢の女性に声をかけられた。買い物の途中で道に迷ってしまったという◆スマートフォンを持ち合わせていなかったため、近くのバイク屋に尋ねると、快く道順を教えてくれた。距離が遠かったので駅まで同行した◆東北出身の彼女は、この地に移住して50年以上がたつという。かつては親しんだ駅までの道のりも、幹線道路の整備や駅周辺の再開発によって複雑化し、分かりにくくなったそうだ◆都市基盤の更新に伴い利便性が高まる一方で、彼女のようにかえって不便を感じる人々も一定数存在する。日常生活に直接関わる建設業として、「便利」を追求する陰で取りこぼしがちな声にも耳を傾ける姿勢が求められる。
