
鹿島は、日本の伝統的な木造建築技術と、長年研究してきた制震技術を組み合わせた木造制震構造「欄間(らんま)制震システム」を開発した。上下二段の梁と梁の間に設けたダンパーで構成し、地震時にはダンパーの抵抗力を梁の軸方向に作用する力へと変換することで揺れを吸収する。超高層ビルと同等の耐震設計基準を満たす耐震性を確保した。2029年竣工予定の東北支店ビル(仙台市)に適用する。
近年、建物利用者の快適性が空間設計の重要な要素となる中、主要部材である柱や梁に木材を使う動きが活発化している。ただ、一般的な木造ラーメン構造では柱と梁の接合部の剛性を確保しにくく、中高層建築では耐震性の確保が課題になっている。
新システムは、日本の建築様式にみられる「欄間」を想起させる二段の梁と、制震ダンパーで構成する木造制震ラーメン架構だ。柱と梁の接合部を簡単なピン接合とし、ダンパーの抵抗力を、梁の軸方向に働く力に変換して伝える。これにより、木材の剛性と耐力を最大限に生かしながら地震のエネルギーを吸収する。
鋼製のダンパーは木の多柱空間と調和する形状にデザインし、木の梁との接合部もできるだけ木部材が見えるようにして、意匠性と施工性を両立させた。ダンパーと下梁は建物の重さを負担しないため、防火対策が不要な点も特長だ。
構造実験では、設計で想定する範囲を超える大きな変形に至っても安定したエネルギー吸収能力を保ち、木部材や接合部に問題が生じないことを確認した。
東北支店ビルでは、フロア中央の南北方向に同システムを採用する。木造架構の南北両側には、鋼管にコンクリートを充てんしたCFT柱と鉄骨梁によるブレース付きラーメン構造のコアを設ける。
耐震設計には、超高層や免震建物と同等の時刻歴応答解析ルートを利用。ダンパーがあることで揺れ幅が小さくなるとともに、地震後の揺れが収まるまでの時間も大幅に短縮できることを確かめた。
建設通信新聞 電子版2カ月無料キャンペーンはこちら

