大成建設は、良質で安定した森林を短期間かつ低コストで創出する計画手法「T-GROVEUP」を開発した。成長の早い「先駆種」と成長の遅い「遷移後期の種」の苗を混ぜて植えることで、先駆種が周辺の環境を整えながら遷移後期の種の育成を助け、自然本来の過程で生物多様性に富んだ森林を短期間で形成する。都市の再開発や造成・工業団地の開発など、さまざまな案件に適用可能だ。
「ネイチャーポジティブ(自然再興)」の国際的潮流や国土交通省が提唱する「グリーンインフラ推進戦略2030」などにより、生物多様性に配慮した緑化の重要性が増している。同社も「TAISEI Green Target2050」を掲げ、自然との調和を図りながら社会資本の形成に取り組んでいる。
ただ、従来の緑化工事では、竣工時の景観を重視し、背の高い樹木を植栽することが多い。このため、育成費・移植費といったコストが高く、樹木の種類も限定され、生物多様性が低くなるという課題があった。
同手法では、光を好む先駆種が早期に成長し、景観性の高い森林を短期間で形成。日陰がつくられ、土壌環境も整うことで、日陰を好む遷移後期の種が安定的に生育する。先駆種は、遷移後期の種に樹高を抜かれると光の供給が減り、寿命を迎える。その後、遷移後期の種が生育することで、自然本来の過程を経て、強く良質な森林を創出する。
0.6mの苗木から4mに到達するまでの期間は、従来技術で平均5年3カ月だったが、同手法を活用すると平均3年4カ月になる。4年間で4mまで育てるのに必要な初期樹高は、従来の1.2mに対して0.6mであり、施工価格が約40%削減できる。
地域の気候や風土に適した樹種の選定には、先行開発した「森コンシェルジュ」を使う。独自の植生推移を踏まえた在来種のデータベースを活用し、地域の生物多様性に配慮した緑地計画を実現する。
同手法は、福島県田村市の「大成建設グループ次世代技術実証センター」で、約5haの半自然草原、約2haの森林に適用される。同市の種子を活用し、遺伝的多様性に配慮した森林を創出する。種子採取や植樹イベントといった地域連携活動も行う。
