東京都内で、データセンター(DC)建設を巡る住民と事業者の対立が表面化している。工場跡地の整備計画では、住宅地に隣接する立地への反発に加え、電力消費や排熱の情報公開を求める声も上がる◆生成AI(人工知能)の普及でDC需要は急伸中だ。便益は広範だが、電力や排熱、景観の負担は立地周辺に集中し、程度も不透明である。この非対称性が火種の中心にあるのではないか◆都と江東区が住民対話のガイドラインを策定した。紛争回避が目的だが、便益と負担の偏りに正面から向き合わない限り、対話は形式に流れかねまい◆「重要な社会インフラ」とするならば、その存在意義や約束を求める声も無視できない。不信を抱えて完成した施設は、地域の異物になりかねない。まず固めるべきは、信頼という地盤である。
