数十年ぶりに針作業をした。小学生の娘が運動会で使う紅白帽にリボンを縫い付けるだけの単純作業だが、久しぶりで思わず緊張感が走った◆わざわざ妻や実家のミシンに頼ることははばかれたため自らの手で行ったが、意外にも体が覚えていたようで滑らかに作業が進んだ◆あらゆる産業界で機械化・ICT化が進む中、建築設計界では模型づくりや手書きパースなどの従来手法に重きを置く設計事務所や教育機関が多い。3次元設計などでは理解し難い重量感や温感などを直感的に伝達できるほか、創造力や応用力が身に付くからだと聞く◆人口減少社会で生産性向上・省力化は不可欠だ。しかし、基礎力は汎用(はんよう)性が高く、技術革新が加速する中でも、ものづくりの根幹にある手作業が必要な場面はあると実感し、針を置いた。
