2025年11月末に閣議決定され、全容が明らかになった今年度補正予算。業界の注目は、「事業規模5年20兆円強」と定められている第1次国土強靱化実施中期計画の初年度分の予算額に集中した。23年6月の改正国土強靱化基本法の成立以降、全国建設業協会や日本建設業連合会などの業界団体が長きにわたり、さまざまな要望を重ねてきた初の法定計画だから当然だ。しかし、結果は決して満足のいくものではなかったというのが、多くの業界関係者の本音だった。「気持ちを切り替えて次の当初予算にかけるしかない」。こんな声も漏れた。 そして迎えた昨年末、26年度当初予算案が閣議決定された。補正を含め、ここでは金額の詳細には触れないが、高市内閣が掲げる積極財政や危機管理投資などに対する期待も高かっただけに、がっくりと肩を落とした業界関係者は少なくない。この10年来、公共事業予算が横ばいに推移する中、資材価格の高騰や人件費の上昇などに伴う実質事業量の減少は、既に危機が現実のものとして表面化しているが、近年のコスト上昇分を補って発注量を戻し、増やすには、心もとない予算の増額規模だったのが理由だ。
ある業界団体の幹部は「予算の増額要望はもちろん今後も続けるが、手をこまねいている間に地方はどんどん疲弊してしまう。何とか仕事を確保しなければならない」と頭を抱え、工事量が増加している防衛関連施設など、いわゆる国交省系工事以外への参入促進の必要性などにも思いを巡らせる。
長年の懸案である担い手の確保は深刻さが一段と増している。日建連が昨年発表した新長期ビジョンでは、35年度に129万人もの技能労働者が不足すると予測。不足分は生産性向上で一部をカバーするが、労働力人口が減少して全産業的に人材獲得競争が激化の一途をたどる中でも、一定数の入職・定着を実現しなければならない。
日建連の幹部は「26年は将来の担い手確保への布石を打つ」と意気込み、こう続ける。「決して労働強化が目的ではないという点は強調したいが、柔軟な働き方を実現する時間外労働上限規制の見直しを働き掛けていく。外国人材の活躍も欠かせない視点で、ターゲット国を絞った上での戦略的な受け入れや官民一体での教育体系の在り方などを関係機関と議論していきたい」
日建連としては、大型プロジェクトの中止や延期などを各地で引き起こしている建築費高騰問題を契機に、発注者団体の不動産協会から異例のアプローチがあった課題解決協議で、どのような成果を生み出すかも重要テーマの一つだ。幹部は「日建連にとってエポックメイキングな出来事であり、ウィンウィンな関係の構築に向けた一歩にしたい。われわれとしても、再開発事業を成立させられる新たな仕組みなどを一緒になって考えていきたい」と語る。今春をめどに、日建連と不動協の連名による提言・要望の取りまとめを目指すほか、トップレベル、実務者レベルの意見交換の場も設置したい考えだ。
26年は、昨年12月に全面施行された第3次担い手3法の現場レベルでの運用元年とも言えるが、4年後ごろに見込まれる次の法改正を見据えた“弾込め”にも乗り出す構えだ。先の幹部は「生産性向上は制度面からもアプローチできる。例えば、建設キャリアアップシステム登録を前提とする技能労働者の派遣解禁など、一人ひとりの稼働率を上げられる方策はあるはずだ。競争を前提とする今の入札制度も、時代に合わせて見直す余地がある。設計労務単価の政策的な引き上げの後押しとなるデータ整理などにも取り組みたい」と話す。
別の幹部は、建設コストの上昇や工期の延伸が顕著となる中で、金利上昇の影響を懸念する。前払い金などがある公共工事はまだいいが、民間建築工事では竣工後一定期間を経ないと、1円も支払われないケースもあるという。「適正工期の設定や価格転嫁は進んできたが、立て替えの負担が増す中、支払い条件の改善も同時に行わなければならない」と指摘する。
