国土交通省の社会資本整備審議会建築分科会は20日、住宅・建築物の省エネルギー対策に関する報告書を承認した。建築物のライフサイクルアセスメント(LCA)の推進と省エネルギー性能の一層の向上に関する対策の方向性を示した。LCAでは、大規模事務所などを対象にした算定届け出制度や国の庁舎に対する評価の先行実施を求めた。今後、社会資本整備審議会に報告した後、金子恭之国交相に答申する予定だ。対策の実施に当たっては法案提出も視野に入れる。
LCAについては2028年度からの制度開始に向けて、延べ2000㎡以上の非住宅建築物の新築・増改築を対象にLCA実施の意義や効果、削減措置などを建築主に説明する制度とともに、延べ5000㎡以上の事務所の新築・増改築を対象にした算定届け出制度を求めた。
国が建設する庁舎については、延べ2000㎡以上の事務所の新築・増改築を対象にLCA評価の先行実施を提案。削減に取り組むパイロット事業への支援や優良建築物などへの補助事業で評価を先行的に要件化することも要望した。
省エネ性能に関し、25年4月に全ての建築物に省エネ基準適合を義務付けた。今後は基準の引き上げを見据えて自治体など審査側の体制整備への支援を続けるとともに、BIMやAI(人工知能)を活用した申請・審査の負担低減を提案した。
住宅トップランナー制度は対象となる事業者のうち、特に多くの住宅を供給する事業者に対し、実績を踏まえつつ高い省エネ性能確保を求める仕組みを導入すべきとした。
ビジョン検討の
方向性も承認
分科会では、建築分野の中長期的ビジョンの検討に向けた中間取りまとめも承認した。具体的なビジョン策定に向けて検討の方向性や考え方を定めた。▽建築物・市街地▽建築の担い手▽建築を支える環境・仕組み--三つの視点で取り組みを整理することとし、建築物や市街地に直接的に関連する施策だけでなく、担い手確保や市場環境の整備も検討していく必要性を示した。
また、新築に比べて圧倒的多数を占めるストックの活用に軸足を置くとともに、統計情報の不足を補いつつ産学官が保有する情報とも連携し、ビッグデータやシミュレーション技術などの活用も促進していく考えも提示した。
取り組みを検討する際は、ある施策の推進により他の施策に歯止めをかけてしまうような場合はうまく調整を図り、優先順位も考慮する。国で一律の基準を定めるのではなく、地域の実態に合わせて柔軟に変更できる仕組みを求めた。新技術の試行の場を提供するなど技術開発を促す枠組みや、中長期ビジョンの取り組みを国民に情報発信する枠組みを検討する必要性も示した。
中長期ビジョンは、カーボンニュートラル実現や改定中の住生活基本計画などの政府方針の目標年次である50年を見据え、今後10年程度の政策展開の道筋としてまとめる。4月以降に具体的な検討に入り、27年春ごろの策定を目指す。
