【KENCOPA・AIが根拠示しながら作成】
設計図書からAI(人工知能)が工程表を生成する――。KENCOPA(ケンコパ、東京都渋谷区、安村荘佑CEO)が開発した新プロダクトは、現場技術者の負担を大幅に低減する可能性を秘めている。従来は数週間を要していた全体工程表の作成を、最短15分まで短縮。自然言語による対話で人間と協調しながら詳細な工程を組み立てられるほか、利用を通じて知見を蓄積し、さらなる精度向上が見込める。既にゼネコンなど30社超が関心を寄せている。4月に製品版を提供する。
安村氏は、東京大学卒業後、マッキンゼー・アンド・カンパニー・ジャパンに入社し、ゼネコンに対するBIM/CIM導入やDX(デジタルトランスフォーメーション)推進プロジェクトに従事してきた。建設業の課題の大きさに直面し、起業を決意。2024年3月に同社を創業した。
創業メンバーの中には家業で建設業を営むメンバーもおり、現場の実態や課題感を肌で理解してきた。そのため同社は、机上のDXではなく、施工管理の現場に寄り添ったプロダクト開発に一貫して取り組んできた。
同社が展開する「Kencopa工程AIエージェント」の特徴は、工程表の自動作成にとどまらない点だ。利用者が図面、仕様書、数量調書などの設計図書をアップロードすると、AIが最短3分で内容を読み解き、施工条件や制約事項を抽出する。その後、対話形式で現場の状況を確認しながら、15分でマスター工程表の「たたき台」を生成する仕組みだ。
特徴の一つは、AIが工程の「推論根拠」「各工程の日数」を併せて提示する点にある。これにより、経験の浅い若手技術者でも作成根拠を理解しながら作業を進めることができ、教育面での活用も見込まれる。
さらに、工期優先や歩掛かり優先といった複数のパターンを提示する「AIシミュレーション機能」や、独自の検索手法で過去の類似工事を提案する機能も備えており、ベテランの知見のデジタル継承にも寄与する。
従来の工程表はエクセルやCADで作成されることが多く、貴重な実績データが活用されにくいといった課題があった。しかし、同プロダクトでは、日々の実績を入力することで「自社の適正工期」「実績歩掛かり」を自動でデータベース化し、使えば使うほど自社に最適化されたAIへと高度化する。
市場からの反応も良好だ。25年12月に開かれた建設DX展では、同社ブースに約1200人が訪れ、高い関心を集めた。既にゼネコンを中心に約35社とのトライアル利用が決定しており、ベータ版を導入した企業からは「通常1週間かかる概略工程表の作成が1日で完了した」といった効果も報告されている。
工程表を現場の“頭脳”と位置付け、今後は施工計画や積算、タスク生成など機能拡充も視野に入れる。安村氏は「プロダクトの提供を通じて施工管理業務の省人化・自律化に貢献する」とし、「日本の建築技術を世界に輸出する」との目標に向け、現場変革を推進していく考えを示した。
