かつて日本列島には、百獣の王が闊歩(かっぽ)していた。大学などの分析で、国内で複数発見されていた未成熟の化石の中に残された遺伝子が、絶滅したホラアナライオンのものだと分かった◆本州の北から南まで広く分布していた可能性があるというから驚きだ。現代でもクマは生活の脅威だが、ご先祖さまの生活圏は想像以上に危険だったらしい◆同じライオンが分布していた氷河期のヨーロッパでは、現生人類がマンモスの骨で住居をつくっていたことが分かっている。日本でも博物館で復元模型を見ることができる◆危険に敏感な者が生き残り、今日にまで命をつないできたことは想像に難くない。風雨や外敵から逃れて安心できる場所を求めた数万年前の営みが、優れた技術を生み出し、現代の都市と建築を形づくっている。
