日本建設業連合会(宮本洋一会長)は20日、民間工事の契約で、十分に活用されていない民間請負契約約款の利用促進に向け、発注者となる民間事業者・施主の理解と協力を得るためのリーフレットを公開した。国土交通省、全国建設業協会、全国中小建設業協会との連名で作成。官民を挙げて、契約当事者の対等性確保や紛争の未然防止などに役立つ民間約款の普及・定着を目指す。
この取り組みを主導する日建連が20日の理事会に報告し、公表した。工事受注前の協議や交渉の場において、中央建設業審議会が作成した民間建設工事標準請負契約約款や民間(七会)連合協定工事請負契約約款などの活用を促す。同日の記者会見で宮本会長は「世の中にはいろいろな契約約款が存在しているが、今後はこの民間約款を基本とし、特殊なプロジェクトなどがあれば、必要な項目を付加していくような形にしたい。国交省などに名を連ねてもらったことの意義は大きく、業界全体の取り組みとして活用を推進していきたい」と話した。
国交省の「発注者・受注者間における建設業法令順守ガイドライン」は、民間約款に沿った内容の契約書による契約締結を基本としている。しかし、同省が昨年10月に公表した調査結果によると、民間約款によらない独自の契約書が使用されている割合は、発注者で約53%、受注者で約24%となっており、十分に活用されていないのが実態だ。
また、ガイドラインは、約款を修正して相手に過大な負担を負わせる片務的な内容で契約することは、建設業法に違反する可能性があり、厳に慎むべきと明文化。日建連はこれまでも、請負代金の変更などを巡り、発注者が有利になるような契約条項の変更や削除が散見されるとし、適切なリスク分担などによる対等な関係構築を訴えてきた。
このような状況を踏まえ、日建連は国交省などと共同で、発注者理解を獲得するためのリーフレットを作成した。表面には対等性確保、紛争の未然防止・解決、法令違反の防止といった民間約款のポイントを簡潔に記載している。裏面には第3次担い手3法の全面施行を受け、昨年12月に行われた民間約款改正の要点を列挙。資材価格高騰など契約変更請求ができる場合の追加、変更協議の申し出や誠実協議、請負代金の変更方法に関する規定の追加が行われたほか、労務費の適正な支払いに関するコミットメント条項の新設なども実施された。
日建連は20日付で、民間約款の活用徹底に向けた取り組みの推進を求める会長名の通知を会員各社に出した。今後、建築運営会議で各社の取り組み方針を報告してもらうほか、下請取引適正化自主行動計画のフォローアップ調査の中で、民間約款の活用状況も定期的に把握する。発注者団体との意見交換などさまざまな機会を捉え、民間約款の周知などにも努める考えだ。
