広島市は、「広島大学本部跡地における『知の拠点』の整備」に関する基本設計の概要を市議会総務委員会で報告した。旧理学部1号館を知の拠点として整備するため、保存部分(正面棟の前面から廊下まで)を除いて解体し、耐震改修・劣化対策などを行い、被爆建物としての適切な保存を図るとともに、背後の増築部分と合わせて平和に関する研究などの拠点とする。工事費は、別途安全対策が必要になったことなどから、基本計画策定時の約63億円から約129億3000万円に膨らみ、工事期間も5年間延長して2034年度の完成となる見通しを明らかにした。
同整備の基本・実施設計は山下設計が担当している。26年度は実施設計を進めることにしており、予算案に2億3400万円を計上している。
旧理学部1号館の施設概要は、敷地面積約6300㎡、RC造3階建て延べ約6000㎡(建築面積約2200㎡)。保存部分は研究などの諸室を確保しつつ、被爆の実相や意匠的・歴史的価値の毀損(きそん)範囲を最小限とするため、可能な限り現在の姿に近い形での保存を前提に経年劣化が進んでいる箇所の補修、耐震化などを進める。増築部分は、現在のE型の形状や保存部分の意匠に配慮しつつ、保存部分とは別の時代であることが区別できる意匠とする。
工事費については、基本計画公表時は約63億円としていたが、24、25年度に実施した劣化状況調査などで躯体の損傷が広範囲で著しく進んでいることや床・梁・基礎の強度不足が明らかとなり、施設安全性の観点から対策が必要となったこと、現下の物価高騰の影響などにより、約66億3000万円増額の約129億3000万円となった。
5年間延長の見込みとなったスケジュールは、26年度で実施設計をまとめ、27年度から保存改修工事、28年度から増築工事に着手し、34年度の完成を目指す。
