浮体式洋上風力建設システム技術研究組合(FLOWCON)は、浮体式洋上風力発電大量導入に向けた専用港湾と海上作業基地の在り方について、2026年度末までに一定の取りまとめを行う予定だ。この取りまとめを基に、海上作業基地の技術開発に本格的に取り組む。並行して海上施工に関わる気象海象予測のシステム開発にも着手し、29年度までに全体の取り組み成果をまとめる。野口哲史理事長は「32、33年度ごろの本格的な基地港湾の供用が理想だ」と語る。
FLOWCONは現在、浮体式を量産化し合理的な建設コストを実現するため、建設能力向上の方策を検討している。建設能力は、▽建設期間▽施工日数▽稼働率▽船団数--の4要素で求められるが、建設期間と稼働率は自然条件、船団数は各企業の資本力に大きく左右されるため、特に施工日数の短縮に焦点を当て、最適な施工方法や港湾利用、台風からの退避方法を考えている。
施工日数短縮の課題の一つが基地港湾で風車搭載の作業を行う際の入出港サイクルだ。15メガワット機を60基設置する海上施工の基本シナリオだと、ドッグなどに保管していた浮体基礎を基地港湾にえい航して風車を搭載した後、設置水域に移す。全体の期間は2基当たり最短26日かかると試算する。
大型浮体のえい航を秋田県能代港でシミュレーションした場合、幅150mの船団が時速3、4㎞で進むこととなり、港湾を半日以上占有することが判明した。そのため、港湾を利用する他の事業者との調整が必要があり、待機する日を組み入れなければならない。
一方、風力発電整備専用の大規模港湾を設けて一連の作業を完結できれば、期間を19日まで短縮できる。海外の事例を見ると、フランスのマルセイユフォス港や米国のロングビーチ港、英国のニグ港では、一連の工程を一つの港湾で対応できるよう整備を計画している。
港内の風車搭載作業でも課題がある。1バースのみ利用する場合、資材搬入、風車搭載、試運転のそれぞれの作業を交代で行わなければならないため、工期の増加につながる。3バースでそれぞれの作業を同時並行で行えば、1バースと比べ1.5倍の建設能力が見込める。
野口理事長は「既存の港湾を専用港に指定し、港内で3バースを確保するのがベストだが、それが困難な場合は、風車搭載の作業を港外で行う海上作業基地を整備する必要がある」と指摘する。
また台風来襲の課題も残っている。来襲時に浮体を仮係留で浮遊させている状態では安定を確保できない。港湾内で着底養生するか、港外に退避係留する必要がある。港湾内の養生では着底状態で台風に耐える設計、港外退避の場合は10日以上の退避ロスの発生を工程に加味しなければならない。
FLOWCONでは、これらの課題を踏まえ、合理的な建設システムの構築へさらに検討を深める。政府は、40年までに浮体式洋上風力発電で発電容量15ギガワット以上、着床式で30ギガワットの案件形成を目標に掲げる。浮体式に関して、まずは29年度をめどに大規模浮体式を想定した促進区域の指定を目指す。野口理事長は「30年度以降は、浮体式と着床式で港湾を併用する期間が10年以上続くと予想される。30年度までにどのように準備するかで残りの10年間が決まる」と力を込める。
