【最前線で誇り持って】
イチケンの新社長に1日付で政清弘晃氏が就任した。創業95周年を迎えた2026年3月期、28年ぶりに売上高1000億円を達成するなど好調な業績を背景に「次は100周年に向かってさらなる成長軌道を描く」と力を込める。35年をターゲットとする長期経営計画で将来を見据えた一手を打つ政清社長に具体的な事業戦略を聞いた。
--就任の抱負は
「現場や支店といった最前線で働く社員を大事にしていきたい。現場の仕事が顧客の評価や品質、安全など全ての基本になる。現状に甘んじることなく、人材の成長などに必要な投資を機動的に行っていく。待遇や職場の環境を含めて社員が自分の会社を好きになり、誇りに思える企業にしていきたい」
--事業戦略は
「資材の高騰や輸送費の上昇を受け、新築工事は一部低迷も見られるが、既存施設のリニューアルは需要が見込める。当社が得意とする商業建築のリニューアル、改修工事といった分野を伸長させたい。長期経営計画『ビジョン2035』では不動産への循環投資を重点項目に位置付けている。土地取得による新設や既存物件取得後の改修などバリューアップして売却する事業に継続的に投資していきたい」
「ベトナムではBIMに注力している。専門人材が日本国内現場のBIMデータ化を担い、生産BIMとして活用している。BIMの建築確認申請が進む中で、将来的には設計事務所や他ゼネコンなどから依頼を受けてデータ化して提供するビジネスも計画中だ。環境分野への取り組みや商業店舗の運営といった新規事業の検討も始めた」
--M&A(企業の合併・買収)戦略は
「土木事業の強化を目的に片岡工業を24年にグループ化し、同社を中心に土木事業を成長させている。長期経営計画で掲げた売上高1500億円という目標達成に向けてM&Aは有効な手段だと考えており、今後も土木や事業基盤が確立されていないエリアなどでチャンスがあれば検討していきたい」
--創業100周年に向けて
「社員一人ひとりが生き生きと働ける職場環境を実現していく。研修制度の充実や人材関連の投資、ICTツールを使った現場支援などに加えて、働きがい向上や採用促進、離職防止策を重点的に進めていきたい。ダイバーシティの推進も重要課題に位置付けており、将来的には女性役員が誕生できるように活躍の場面も用意し、そうした人材が育つことを願っている」
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(まさきよ・ひろあき)1986年3月大阪芸術大芸術学部建築学科卒後、同年4月イチケン入社。2021年4月執行役員関西支店長、22年6月常務執行役員関西支店長、23年6月取締役兼常務執行役員関西支店長、24年4月取締役兼常務執行役員事業本部長、25年6月取締役兼専務執行役員事業本部長を経て、26年4月から現職。趣味はゴルフと旅行。学生時代は仲間とバンに乗り込み、全国を旅した。大阪府出身。64年1月20日生まれ、62歳。
◆記者の目
提携関係にあったダイエーに入社1年目で出向し、商業建築の魅力や価値を目の当たりにした。座右の銘は『人間万事塞翁(さいおう)が馬』。勝っておごらず、負けて腐らず、冷静に常に平常心で仕事に向き合う。ただ、長年の営業で培った勝負勘にはこだわりがあると言い、「ここぞというところではしっかりアクセルを踏み込みたい」とも。「憧れの先輩でもあり、目標でもある」という長谷川博之前社長の路線を引き継ぎ、さらなる躍進を目指す。
