日本建設業連合会(宮本洋一会長)が実施した土木工事に関する最新の会員アンケートによると、単月残業時間が45時間を超過するなど、建設現場の4割以上で時間外労働上限規制の原則ルールを守れていないことが分かった。4週8休は浸透しているものの、現場の施工管理に加え、事務所での社内外対応を含む書類の作成や次工程の段取りなど、技術者の多岐にわたる業務内容が重荷になっている。また、物流業界の上限規制対応の影響も顕在化し、コストアップや作業時間制限といった動きが拡大している。
アンケートは、2024年10月から25年9月までに竣工または施工中の3億円以上の土木工事を対象に実施した。調査結果によると、月45時間以内をクリアできなかった元請け職員がいた現場は、全発注機関1391現場のうちの42%を占め、1年前の調査より3ポイント悪化した。
国土交通省直轄工事(道路・河川)計179現場の状況を見ると、原則ルールの未達は48%で、前年より11ポイント悪化した。地方整備局ごとにばらつきが見られ、関東、中部、近畿、中国、四国、九州は未達の割合が増えた。
日建連は上限規制順守のためには、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進による現場の生産性向上や施工管理業務の効率化に加え、残業削減も考慮した当初発注時の適正な工期設定、条件変更に伴う適切な工期延期、さらなる書類の削減・簡素化など、受発注者が連携してさまざまな取り組みを講じる必要があるとしている。
また、運送業にも適用された労働時間規制により、物流コストの上昇や搬出入時間の制限といった影響が建設現場でも顕在化。生コンクリートやクレーンの作業時間減少で、コスト増や工期不足が拡大している。
会員調査によると、資材運搬料金や移動式クレーン作業料金の上昇、運転手不足、休日の調達不可や割増料金追加、搬入日時の指定不可などの動きが報告されている。有効回答83現場のうち、運搬費・資機材価格の上昇幅は、「10―20%」「20%超」がそれぞれ4割程度を占めた。
日建連は、物流業界の影響も勘案した適正な工期設定、歩掛かりや積算基準の速やかな見直しを国交省に要望。それまでの間は、受発注者間による設計変更協議を現場レベルへ徹底し、適切な工期と請負代金での契約変更を求める。資材価格の調査方法の改善と予定価格への反映も提案する。都市部を念頭に、資機材の保管場所やクレーン、運搬車両の待機場所となるヤードを工事発注前に発注者で確保する支援策も働き掛ける。
加えて、プロジェクトの供用開始時期が決められ、工期を延長できない工事などについて、発注者負担によるさまざまな生産性向上策の導入やマンパワーの増員などによって、従前の工期を変更せずに、働き方改革との両立も目指す「工期順守型」の試行工事を新たに提案する。

