建設業界で深刻な人手不足が続く中、現場管理のデジタル化やテクノロジー活用の進展が若手社員の定着率向上と関係する可能性があることが、インフォマートの調査で明らかになった。給与や休日数などの待遇改善に加え、デジタル技術を活用しやすい職場環境の整備が、若手人材に選ばれる企業の条件になりつつある。
調査は4月14日から20日にかけて建設業に従事する20-60代の会社員1040人を対象に実施した。
勤務先の課題としては、「慢性的な人手不足」が46.9%で最も多く、「高齢化による技術継承の停滞」が26.2%、「仕事内容に対して給与・待遇が見合わない」が25.7%で続いた。
若手人材の確保も厳しい状況だ。直近3年間で「若手採用がない」と回答した割合は30.1%に達し、従業員50人未満の企業では47.1%と約半数を占めた。
一方、若手社員の定着については、企業のデジタル環境と関連する可能性も見て取れる。現場管理部門で入社3年以内の定着状況を聞いたところ、「全員定着している」「ほとんど定着している」の合計は、デジタル化・DX(デジタルトランスフォーメーション)が「未着手」の企業が29.3%。これに対し、「データ活用・DXまで実現」の企業は64.1%と2倍以上の差が開いており、デジタル環境の状況が定着のポイントの一つとも考えられる結果となった。
導入済みのデジタルツールでは、「施工管理アプリ・写真管理」が49.9%で最も多く、「コミュニケーションツール」が46.3%、「勤怠・給与管理」が43.2%で続いた。
生成AI(人工知能)の活用と従業員意識との関連も明らかになった。自身のスキルや経験の将来価値について「価値を持ち続ける」と回答した割合は、生成AI利用者(344人)が53.5%だったのに対し、非利用者(696人)は25.3%にとどまった。
生成AIの活用業務は、「メールや文書の作成・校正」が54.1%で最多となった。「会議事録の作成・自動要約」が29.4%、「積算・見積・予算作成の補助」が17.4%となり、定型業務だけでなく専門業務への活用も進みつつある。
一方で、活用ルールの整備は十分に進んでいない。「会社にルールはない」と回答した割合は38.9%で、「ルールがある」の18.0%を大きく上回った。23.8%は「ルールはないが個人の判断で利用している」と回答しており、企業側のガイドライン整備が課題となっている。企業規模別では、大企業ほどルール整備と活用が進んでいるのに対し、中小企業では対応の遅れが目立った。
同社事業企画推進部門の石倉茂Data・AILab部長は、「生成AIの活用は業務効率化だけでなく、従業員のキャリアに対する自信にも影響を与えている」と分析。その上で、AIの価値を最大限に引き出すためには「データ環境が不可欠」と指摘する。
