岩谷産業と大林組は18日、燃料として利用する液化水素をガスに気化する際、発生する「冷熱」を建物空調や冷凍設備に利用する技術の実用化にめどが立ったと発表した。回収した液化水素冷熱を建物で利用する国内初の試みも始めている。岩谷産業の小池国彦常務執行役員中央研究所長兼岩谷水素技術研究所長は「技術的な検証はできた。お客さまから要望があればすぐにでも実装できる」と万全な状態であることを強調する。これまで大気に放散してきた未利用エネルギーの「冷熱」を冷却エネルギーとして活用することで、電力削減や社会の脱炭素化に貢献していく。
実証実験は4月から、兵庫県尼崎市の岩谷水素技術研究所で行っている。マイナス253度の液化水素を気化する際に、従来の蒸発器ではなく両社で開発した二重管構造の冷熱回収用熱交換器を使用し、冷媒にはエタノール水溶液を使って冷熱量の約90%を回収する。それを冷凍ショーケースや空調に活用しており、液化水素冷熱の建物への利用は国内初の試みという。
両社は2022年から関西大学の研究協力を得て沸騰と凝固が同時に生じる伝熱過程の研究に着手した。その特性を明らかにし、二次冷媒の凝固が生じても冷熱を安定して回収できる熱交換技術を開発した。熱交換器の設計と製造は大林組が担当している。
福島洋岩谷産業取締役専務執行役員は「水素の有効活用は政府からも求められている。冷熱の活用はカーボンニュートラルの観点からも非常に意味のある試みであり、水素社会の実現に向けて取り組んでいきたい」と語った。
島潔大林組技術本部統括部長は「さらなる検証を進め、『水素を利用するまち』の具現化に貢献していきたい」と展望を述べた。
