【将来のゼネコンの姿は?/“つくる”を超えたエコシステム】
東急建設は、2030年をゴールとする10カ年の経営計画を進めている。直近160億円台で推移する営業利益を220億円以上まで伸ばし、海外展開や不動産事業、新規事業などの「戦略事業」の売上高比率の引き上げを目指す。こうした中、「長期経営計画を強力に推進する」と力を込めるのが、4月1日付で執行役員経営戦略本部長に就任した星野康政氏だ。インタビューで見えてきたのは、人口減少社会を見据えたビジネスモデルの変革と企業の枠を超えたエコシステム構築だった。
--何に注力するか
「現在の久田浩司社長と共に、21年公表の長期経営計画、企業ビジョン『VISION2030』の策定に携わってきた。自分たちが進めてきたことであり、必ずやり遂げたい」
「加えて注力するのは、“働きがい”の改革だ。当社は年に1度、一般社員と役員が少人数で膝を突き合わせ、会社の将来などを話し合う場がある。この時間を通じて、社員の成長意欲の高さを再認識した。社会の役に立っているという実感に、みんなが熱い思いを持っており、こうした気持ちを後押しする会社にしたいと強く思う。働き方改革は既に浸透している。残るラストワンマイルが、“働きがい”の改革だ」
--今後の国内建設市場をどう見るか
「現在の状況を踏まえると、国内建設投資額は30年までに80兆円を超え、それ以降もしばらく横ばいで推移するだろう。一方で当社は現在、“100年に1度”といわれる渋谷の大規模再開発に携わっている。この次のフェーズとなる『ビヨンド・渋谷』を構想する上では、こうした市場認識の下で、その先を見据える必要がある」
--その先は
「少子化の現実を直視しなければならない。国内建設投資は35年ごろまでは横ばいと見ているが、それ以降はいずれ下がる可能性がある。そうすると投資額が減り、大型インフラ需要は新設から更新へとシフトするだろう。一方で、これらを管理する市町村などの技術系職員の不足は今後さらに深刻化していく。更新が必要なストックインフラが増えるにもかかわらず、管理・監督するスタッフがいない。こうした世界において、ゼネコンはどうあるべきなのか。そのあるべき姿を考えなければならない」
--その考えのヒントは
「ゼネコンの業務内容が変わる可能性があることを予感している。維持・管理・運営までがゼネコンの業務になる可能性はある。具体的には、官民連携が加速するシナリオや、民間同士のアライアンスが活発化することも考えられる。いずれにせよ、さまざまなプレーヤー同士が協業していくことになるかもしれない」
--ゼネコン間の競争の土俵が変わる。ゲームチェンジの可能性は
「可能性はある。一例として、維持管理が中心になれば、『いつ・どのように壊れるか』という崩壊予測モデルが、求められる技術の中核になる可能性もある。そうした場合、従来の“つくる”を中心とした姿のままで、ゼネコンがこれまでどおり建設業界の中心にいられる保証はない。経営戦略の方向性も、従来のような全てを自社開発する経営ではなく、今後は適切な協業先と連携しながらエコシステムを構築し、『こうした仲間がいるから、事業をやりきれる』という説明へと変わっていくだろう」
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(ほしの・やすまさ)1993年3月成蹊大法学部卒後、同年4月東急建設入社。2018年4月土木事業本部営業統括部PFI推進グループリーダー、22年4月経営戦略本部経営企画部長などを歴任。座右の銘は「百折不撓(ひゃくせつふとう)。志を立てたら、挑戦し続ける」と話す。新潟県出身。70年1月21日生まれ、56歳。
