【新時代の「つなぐ」役割模索】
西日本建設業保証の新社長に6月26日付で金井甲氏が就いた。前職は日本建設業連合会専務理事で、資材価格高騰や担い手確保といった課題に正面から対峙(たいじ)してきた。受発注者の関係性が確実に変化しつつある中で建設業の今後のあるべき姿を見据えつつ、前払金や契約保証業務を通じ建設業の持続的発展を支える同社の果たす役割は大きい。そのかじ取りを担うことになる金井新社長に抱負などを聞いた。
--抱負は
「約5年間、日建連に在籍していたこともあり、建設業界の現状についてある程度把握しているつもりだ。ただし、まだまだ勉強しなければならないことの方が多い。建設業の発展に少しでも役に立てるよう頑張りたい」
「神戸出身で、社会に出るまではずっと関西在住だった関係で(西日本は)ホームグラウンドだと思っている。国土交通省時代に和歌山や香川に出向したこともあり、シンパシーを強く感じる。生まれ育った地域で地域の発展につながる仕事に就くことができたのは大変ありがたいことだ」
--自身にとってのテーマは
「建設業界にとって最も大きな課題でもある『担い手確保』と『生産性向上』だと考えている。表裏一体の課題でもあり、できるだけしっかり進めていくことが重要だ」
--これまでの経験をどう生かすか
「日建連に入った頃から物価の上昇が顕著になり始めた。いわゆる物価本には表れない実態を知ってもらうための発注者向けパンフレットの作成に携わったほか、2025年12月に全面施行された第3次担い手3法を巡る議論にも、早い段階から参加してきた。こうした取り組みもあって、少しずつだが受発注者の関係は改善されつつあると認識している。しかしながら課題はまだまだある。中東情勢の影響による資材価格などの高騰もあり、建設業の経営は非常に厳しい。経験を生かし、より建設業界が良くなるような取り組みができればと考えている」
--地域建設業に対する視点は
「大規模災害への対応をはじめ、建設業は地域社会にとって不可欠で重要な産業であり、その点からも当然、公共発注の事業量を一定程度、確保する必要がある。とはいえ、事業量確保に対する考え方は発注機関によってさまざまだ。それらも受け止めつつ、地域の建設業を後押ししていきたい」
--これからの保証会社が果たすべき役割は
「前払金保証や契約保証といった事業は、そもそも受注者のための制度だが、リスクを減らす点において発注者側にとってもメリットが大きい仕組みだ。当社の役割は、発注者と受注者をしっかりとつなぐことにある。国の直轄工事では、この間さまざまな制度改善が進んだものの、地方自治体の制度運用はまだ課題が多い。連携して取り組みたい」
--社内体制や人材育成について
「顧客サービス向上の観点から、社内外でのコミュニケーション向上策を考えたい。社員のモチベーションアップにつながる取り組みにも挑戦していく」
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(かない・はじめ)1988年3月京大法学部卒後、同年4月建設省(現国土交通省)入省。2015年7月住宅局住宅企画官、16年7月復興庁統括官付参事官、18年6月首都高速道路取締役兼常務執行役員、20年7月国交省政策統括官、21年11月日本建設業連合会常務執行役、23年4月同常務理事、24年1月同専務理事などを歴任。兵庫県出身。64年11月3日生まれ、61歳。
◆記者の目
国交省時代は住宅局や道路局などに身を置いた。住宅局では住宅税制を担当し、道路局では高速道路の料金改定などにも携わった。日建連時代の思い出として「担い手3法が成立したこと」を挙げる。日建連と不動産協会が協議会の場を設けたことは感慨深いようで、「建設業界は確実に変わってきている」ことを実感したと話す。その変化は大手だけではない。地域建設業のこれからの在り方を見据えた金井氏の手腕に期待がかかる。
