建設業政策の新たなビジョン策定に向けた議論が9日に国土交通省で始まった。成長産業としての建設業の道筋を定めるため、今後10年で実現を目指す施策や制度改正の方向性を話し合う。「建設業が産業として重大な岐路に立っている」との認識の下、旧来からの構造的課題と社会環境の新たな変化を乗り越え、国民や社会から信頼される建設業たり得るための将来像を描く。
「持続的な成長産業としての建設業のあり方に関する検討会」の初会合を同日に開いた。建設業団体や発注者団体、学識者など計24人の委員が出席。座長には大久保哲夫三井住友信託銀行特別顧問が就いた。
会合の冒頭、楠田幹人不動産・建設経済局長は「将来に希望が持てて、わが国の成長や地域経済の発展を支え続ける建設業の実現を念頭に、持続可能な成長産業としての建設業の在り方と政策の方向性について議論いただきたい」と述べた=写真。
検討会では、建設産業政策会議がまとめた「建設産業政策2017+10」に代わる今後10年を見据えた新たなビジョンを作成する。元請けと専門工事、大手と中小、都市と地方、技術者と技能者などの違いを念頭に、建設業の将来の在り方と講じるべき施策を探る。
議論の下地となるのは、国交省が4月に公表した有識者勉強会の取りまとめで目指すべき姿として提言された建設業の将来像だ。「人を大事にする産業」「真に経営力のある産業」「未来に続く産業」の三つの視点で、月給制への転換、繁閑差への対応や柔軟な働き方、各社の経営力向上、重層下請け構造や業界慣行の改善などに必要な取り組みの方向性を決める。
検討会の下には「企業評価」「入札発注」の二つのワーキンググループ(WG)を置く。両テーマの専門家らで今夏以降にも議論を始め、検討会の取りまとめに成果を反映する。
企業評価WGは、処遇改善や生産性向上に取り組む企業が市場で選ばれる環境をつくるため、経営事項審査、建設業許可、専門工事企業の施工能力等の見える化評価制度の三つの現行制度を検証する。建設業団体や発注者、教育関係者などに聞き取りを行い、評価をする側、される側双方のニーズや関心を把握した上で、活用される評価制度を考える。
入札発注WGは、地方自治体の入札契約制度に焦点を当て、技術系職員の減少や災害時の不調・不落の発生など顕在化する課題への対応策を議論する。災害時や民間工事でのオープンブックコストプラスフィー契約の活用方法も検討する。
検討会は2027年夏まで全7回を予定する。第2回以降は三つの将来像を1回ずつ取り上げ、実現に必要な施策を検討する。第5回で両WGの検討状況や取りまとめの方向性を共有。第6、第7回で取りまとめに向けた詰めの議論を行い、結果を中央建設業審議会に報告する。
