【品質管理の在り方は?/「TAISEI QUALITY」確立】
大成建設の品質管理本部長に、長年にわたり施工管理の最前線を歩んできた小川和之氏が就いた。1987年の入社以来、現場での豊富な経験を一貫して積み重ねてきた小川氏は、「積小為大(せきしょういだい)」を座右の銘に掲げ、地道な努力による信頼の再構築を誓う。2023年に発足した社長直轄の組織を率い、客観的な第三者の視点で「TAISEI QUALITY」ブランドの確立に全力を注ぐ覚悟だ。小川氏に今後の運営方針を聞いた。
--抱負は
「入社以来、27年間施工管理にまい進してきた。現場経験が不可欠なポストであると自覚しており、改めてその責任の重さを受け止めている。品質は事業基盤を担うものであり、顧客満足の源泉だ。ゼネコンが社会から求められる責任は、品質への誠実さと信用にほかならない。『TAISEI QUALITY-品質は私たちのプライド』を合言葉に、役職員全員がものづくりの矜持(きょうじ)を持つ文化を醸成したい。当面の目標は、組織設立以来継続している『重大不具合ゼロ』の堅持だ。不具合の撲滅と信用の回復に向けて、地道な積み重ねを継続していく」
--仕事を進める上で大切にしていることは
「誠実かつ確実な品質管理の徹底だ。不都合な事実も隠さず、ルールを逸脱した際には直ちに是正できる風通しの良さが欠かせない。現場を客観的に監視し、時には作業を止めてでも指導する立場である一方で、トラブル時には真っ先に頼りにされる存在でありたい。厳しさと技術支援による頼もしさを両立させることが理想だと考えている。現場の技術メンバーや協力会社の方々とともに、全員がやりがいを感じられるものづくり環境を整えたい」
--具体的な取り組みは
「手戻りが困難な局面での重点パトロールに注力している。本社と各支店の専任者が連携し、鉄骨の建て方精度や基礎の配筋など、過去の教訓を踏まえたチェックを強化している。特に基礎段階でのつまずきは、是正に多大な時間と費用を要し、信頼を失う直結要因となる。また、クラウド上で是正状況をリアルタイムに共有し、本社・支店・現場が情報を一元化してモニタリングする体制を構築した。タイムリーな情報伝達により、現場の負担軽減と生産性向上も図っている」
--新技術の活用と人材育成について
「AI(人工知能)を活用した『施工技術エージェント』の整備を加速させている。社内の膨大な技術知見や不具合事例をAIが検索・回答するシステムで、若手の教育を強力に支援する。残業規制などで先輩から直接教わる機会が減る中、若い社員が自ら最適な準備を学べる環境を整えたい。今後はベテランの持つ暗黙知を明文化し、システムとして次世代へ伝承していくことが、将来の品質確保の鍵になると確信している。現場経験から得た知見を積極的に提案し、具現化していきたい」
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(おがわ・よしゆき)1987年3月京大工学部建築学科卒後、同年4月大成建設入社。2014年7月東京支店建築部建築第二部長(工事)、16年7月東京支店建築部技術部長、20年4月本社建築本部技術部長(技術)などを経て、26年5月から現職。趣味は読書、ロードバイク、F1観戦(多職種が結集して一つの勝利をつかむ人間ドラマに引かれる)。栃木県出身。65年1月20日生まれ、61歳。
