奈良県宇陀市、曽爾村、御杖村、東吉野村の1市3村は、群マネ(地域インフラ群再生戦略マネジメント)のモデル地域として、広域連携による橋梁メンテナンスに向けた検討を進めてきた。その一環として、点検業務や補修設計・施工監理を長大・天理技研JVに包括委託し、7月24日に協定を締結。いよいよ取り組みを本格化させる。自治体同士が連携し、民間企業のノウハウを生かすことで、技術者不足などの地域の課題解決を目指す。
宇陀市では、III判定(早期措置段階)の橋梁が50橋に上り、橋梁メンテナンスの改善を検討していた。奈良県では市町村の連携・協働で地域の課題解決を目指す「奈良モデル」を推進していたことや、金剛一智市長の後押しもあり、群マネの導入検討に着手した。これまで医療や交通などのソフト事業で連携実績があり、奈良県宇陀土木事務所の管内だったことなどを背景に、曽爾村、御杖村、東吉野村に参画を打診。2023年12月にモデル地域に選定された。
3村では技術者不足が深刻となっており、曽爾村、御杖村では技術職員が全くいない状況が続いている。さらに、専門性が求められる橋梁管理に関する技術やノウハウも不足していることから、連携テーマは「技術職員不足への対応」と、「将来にわたる橋梁の維持管理の適切な継続」に設定した。
モデル事業では、1011橋の計画更新、609橋の点検、225橋の補修設計、30橋の発注者支援業務・施工監理を、29年3月31日まで長大・天理技研JVに包括委託する。このほか、データ連携や一元管理ができる情報共有システムの導入や、ドローンやAI(人工知能)をはじめとする新技術の活用も試行する。補修工事については地元企業からの要望もあり、引き続き個別発注とした。
群マネの導入メリットについて同市建設部の花本達哉主査は、「まとまったロットでの発注となるため、スケールメリットが創出できる。企業も参加しやすくなり、不調対策にもつながる」と語る。また、「対話を進める中で自治体間の信頼関係が築かれ、技術的な判断について気軽に相談し合える仲間となった」とし、「互いの現場に足を運ぶことで、新たな知見も得られ、職員のスキルアップにもなる。今後は、民間企業の若手社員も交えて勉強会などを開催するとともに、新技術を試すフィールドとしても現場を活用し、官民で技術力の底上げを図りたい」と先を見据える。
今後の展開は「実績を踏まえ、付属物、舗装、災害対応など他分野への拡大を検討していきたい」と意気込む。
