国土交通省は、今後のインフラマネジメントへの転換に向けた重点施策をまとめた。点検・調査から計画・設計・整備までを一体で捉える「統合的マネジメント」の確立を中核に据え、地域インフラ群再生戦略マネジメント(群マネ)推進への制度検討や、地方自治体に対する財政支援の充実を図る。維持工事を担う建設業の持続性を高めるため、受発注を効率化する入札契約制度を構築する。
24日に開いた社会資本整備審議会・交通政策審議会のインフラマネジメント戦略小委員会で中間取りまとめの素案を示した。素案にはインフラマネジメントへの転換に向けた考え方と国交省が講じる施策を盛り込んだ。
インフラの機能や存在する空間、計画から更新までの時間軸を統合的に捉えて最適化することをインフラマネジメントと定義し、従来のインフラメンテナンスからの転換を目指す。設計段階で維持管理性や冗長性を確保したり、群マネで連携・協働体制を構築したりする統合的マネジメントの確立を中核に据える。
広域・多分野連携を進める群マネをはじめ、統合的マネジメントを進めるための制度を検討する。自治体向けの財政支援の充実に取り組み、人員や予算が不足する中でもインフラを持続的に支える体制を整える。
建設業の担い手に焦点を当てた施策も打ち出す。地域によっては維持工事の受注者が固定化し競争入札による事業者選定が受発注者双方の負担となっているため、地域の実情に応じて受発注を効率化できる入札契約制度を検討する。
国交省の調査によると、自治体のインフラ関係部署の約7割で維持作業を外部委託しており、うち半数が直近3年間で随意契約があったと回答。維持作業の受注者からは随意契約の柔軟な活用を求める声が出ている。
少数量多工種のメンテナンス工事の実態に応じた歩掛かり設定など、自治体も参考にできる積算方法を直轄工事で検討する。適正な労務費の確保や価格転嫁をはじめ、処遇改善や働き方改革の取り組みも進める。
建設業を含むインフラマネジメント産業の「業界力」を高めるため、担い手確保とともに老朽化対策技術の開発や現場実装を後押ししていく。
会合で久田真東北大大学院工学研究科教授は、業界力向上への取り組みについて「インフラマネジメントを通じた地域活性化のトリガーになればいい」と言及。委員長の家田仁政策研究大学院大シニアフェローは、建設業が抱える課題を踏まえて取り組みを進める必要性を指摘した。
植野芳彦富山市政策アドバイザーはインフラマネジメントへの転換に当たり、「インフラを経営する」視点がより求められると強調した。
今後、素案に対する意見募集を実施する。
