1日3-4時間、4ヵ月の勉強で快挙/ボーイスカウト活動から興味
神奈川県立磯子工業高等学校の建設科で学ぶ2年生の雨宮蓮さんが、建築コースでは異例の測量士補合格を果たした。測量士補は、技術者として基本測量や公共測量に従事するために必要な資格であり、測量士の作製した計画に従い測量を行うことができる。雨宮さんは5月17日に実施された試験に、1月末からの約4カ月の勉強で一発合格した。今年は1万2269人が受験し、合格者は5447人で合格率は44.4%だった。16歳の高校生にして、測量士への道に一歩近づいた雨宮さんに資格取得への思いなどを聞いた。

同校の建設科は、2年次から建築コースと土木コースに分かれる、講義や実習などで測量について深く学習するのは土木コースとなる。一方、建築コースは1時間ほどの実習で軽く触れる程度という。雨宮さんのように建築コースの生徒が測量士補の資格を取得するのは極めて例が少ない上、今回の合格は、2020年度に土木コースの3年生が合格して以来、6年ぶりとなる。雨宮さんが在籍するクラスの中里宗介教諭は「まさに快挙だ」と胸を張る。
雨宮さんは、高校生年代を主な対象とする現役のベンチャースカウト隊の一員で、自分で一から計画し、「高度な野外活動」に取り組んでいる。「(スカウトで)この間も広島県まで一人で計画を立てて、行ってきた。個人の旅行では福岡県と長崎県にも行っている」と自主性や積極性をアピールする。
そのベンチャースカウトの一つ下の階級であるボーイスカウトの活動で、雨宮さんは自分の足の歩幅で一定の距離を歩測したことがあった。「この経験と測量が似ていて、面白そうだ」との思いが、測量士補の資格取得を目指すきっかけになったという。
建築コースでの実習のほか、1月末以降、NPO法人かながわ県土サポート21が実施する希望制の出前授業にも積極的に参加した。1日3-4時間、テキスト問題集を繰り返し解いた上で、5月の試験に臨んだ。測量士補の合格者発表は6月25日。見事に朗報が届いた。
この間、雨宮さんは高校生ものづくりコンテスト神奈川県大会の測量部門への準備にも励んでいた。
8月4日、横須賀市の横須賀工業高校で開かれたコンテストでは、3人で編成する9チームが測量技術の精度を競い合った。雨宮さん自身は初出場ながらも5位入賞を果たした。
そうした測量好きの雨宮さんに、どうして土木コースを選択しなかったのかを問うと、「測量だけでなく、住宅などの建築分野も学びたかったから」と、さまざまな分野への旺盛な好奇心と学習意欲を垣間見ることができた。
高校生ものづくりコンテストには「3年生になっても出場する」と力強く語り、「優勝を狙う」と意気込む。
工高卒業後は進学を目指している。まだまだ挑戦は始まったばかり。測量への思いとともに建設人としての知識と技術はさらに進化しそうだ。
◆測量の授業を充実/磯子工高
中里教諭によると、同校では、「できるだけ多くの生徒が測量士補に合格できるよう、今年は測量の講義を2025年の2単位から3単位に増やした」という。「試験に出題される単語や計算式など基礎知識の習得から、(かながわ県土サポート21のような)サポート体制まで本校では資格取得のためのカリキュラムが充実している」と強調し、担い手不足に直面する建設産業界への有用な人材輩出に貢献していく構えだ。


