【次世代主導で収益力強化/設備・IT刷新やDX人材育成】
2026年3月期は売上高こそ目標に届かなかったものの、利益面は大きく改善した。次世代を担う社員らが中期経営計画づくりに参画した社長直轄の「F30プロジェクト室」で、部門を超えて収益向上の意識が高まったことを要因に挙げる。創業100年の節目を迎える30年を見据え、設備・IT刷新やDX(デジタルトランスフォーメーション)人材の育成にも踏み込み、攻めの投資を加速させる。
--前期業績をどう見るか
「売上高は未達だったが、利益面は良かった。社員の意識の変化が結果につながった。社長直轄で『F30プロジェクト室』をつくり、製造や設計など各部門から約30人を集めて中計の基礎をつくった」
「自分たちがつくった中計ということで、中心となった30、40代の社員らの当事者意識が高まり、利益への意識が大きく高まっている。設計は工場の苦労を共有し、営業も粗利だけでなく、設計や施工、工場にかかるコストまで含めて考えられるようになった」
--高付加価値化の取り組みは
「営業、設計、施工、積算が一緒になり、図面の癖や無駄を省いている。顧客が求める品質に合わせ、過剰なスペックはなくす。一方で、建築図面に間違いがあれば指摘し、エンドユーザーが使う上で、こうした方が喜ばれるという提案もする。部材の組み合わせでも、余裕率にさらに余裕率を重ねるような無駄はなくしていく」
--今後の業績見通しは
「建築現場にはサイクルがあり、当社は2、3年単位で物件を受注している。27年は工期の狭間で『踊り場』になることは間違いない。それを谷にしないため、短工期の工事やリフォーム事業で補う。利益は戦略的な投資に生かす。アルミ地金や副資材の高騰の影響が大きい。地金は1㎞当たり700円水準で、300円だった頃とは全く違う」
--戦略的な投資は
「オーダー商品の自動切断機を導入し、24時間稼働を目指して試運転している。一品一様の商品なので、形の違う型材をどうやってつかむかが難しい。見積もりシステムやイントラを含め、レガシーシステムも全て刷新している。効果が出るまで2、3年はかかると思うが、30年には全て整えたい」
--DX人材の育成は
「システム刷新に加え、将来的には、 これまで蓄積してきた受注実績や図面などのデータも整理し、 リフォームの提案営業などに活用していく。 当社の業態にあった最適なDXやAI (人工知能)の仕組みをつくっていくには、 外部の専門家や企業に依頼するだけでなく、業務を理解している社員の力が必要だ。そこで社員に専門学校でプログラミングなどを学んでもらう取り組みも進めている」
【横顔】
(えさき・ひろゆき)30年以上営業畑を歩んできた。その中で最も難しかった決断は社長就任。「やれることなら何でもやる」が信条で、部下には「顧客と友達になれ」と説く。
