国土交通省は、改正建設業法に基づく労務費の基準(標準労務費)の運用状況をフォローアップする新規調査に10月下旬から着手する。見積もりから支払いまでの各段階で契約関係書類の確認やヒアリングを実施し、実工事での労務費・賃金の支払い状況や行き渡りのボトルネックを把握する。2027年1月まで調査を行い、結果を踏まえて実効性確保に向けた新たな施策を検討する。 =関連2面
中央建設業審議会の労務費の基準に関するワーキンググループ(WG)が5日に開かれ、新規調査の方針が了承された。
新規調査は、▽見積書調査▽阻害要因調査▽CCUS(建設キャリアアップシステム)レベル別年収調査--の三つ。改正法に基づく新たなルールの定着や労務費・賃金の支払い状況、行き渡りの支障を確認する。10月下旬から27年1月にかけて調査し、同年2月までに結果をまとめる。
見積書調査は鉄筋、型枠の2職種を対象に、適正な労務費が見積もり時に反映されているかを把握する。調査対象の工事業者を各都道府県で1社程度選び、各社2現場程度を調べる。標準的な仕様・作業内容の工事で注文者に提出した最終見積書を標準見積書に計上してもらい、見積書に記載の労務費と基準値との乖離(かいり)などを確認する。
労務費の行き渡りのボトルネックを洗い出す阻害要因調査は、大手デベロッパー発注の大規模建築工事、大手住宅メーカーによる住宅建築工事、都道府県発注の土木工事の各個別工事で実施する。
民間工事は発注者と元請け、躯体系、仕上げ系、設備系の工種を対象とし、大規模建築は最大で20社程度、住宅建築は同15社程度に契約書類の確認やヒアリングを実施し、見積もりや価格交渉の実態をつかむ。民間と比べ工種や下請け次数が限られる公共土木は、対象工事の全ての契約分を調査する。
技能者の賃金支払いの実態を調べるCCUSレベル別年収調査は、左官工と内装工の2職種を対象とする。レベル別年収を定める全国9ブロックごとに数社程度を選定し、賃金台帳や作業員台帳などから算定した技能者の想定年収とレベル別年収を比べる。
新規調査は施策検討に向けた課題把握が目的のため、法令に基づく取り締まりや指導の対象にはしない。いずれも試行と位置付け、結果を踏まえて調査対象の拡大を検討する。
調査結果は次回のWGで報告する。27年4月以降に第2回の調査を予定している。
