【現場条件厳しい難工事/大型・超重量の風車部材輸送に入念設計・調達・施工=関電工】
関電工の元請け施工で、福島県いわき市の阿武隈山地に28基の風車を設置する「あぶくま南風力発電所建設工事」が進められている。大規模かつ現場条件が極めて厳しい難工事で、特に大型・超重量の風車部材輸送は困難を極めたが、8年もの歳月を費やした丁寧な設計の成果により、着工から3年を経て進捗(しんちょく)率が7割を超えた。組み立てが完了した一部の風車はまもなく営業運転を始める。終盤に差し掛かった現場を取材した。
発注者は、コスモエコパワー(東京都品川区)など4社が設立した、あぶくま南風力発電(福島県いわき市)。再生可能エネルギー導入を推進する県の風力発電事業者公募に選定され、事業を進めている。発電容量は89.2メガワットに上る。GEベルノバ製の風車を採用した。
関電工は設計から携わり、15年に基本設計業務、18年に詳細設計業務を受託。設計着手から約8年が経過した23年8月にEPC(設計・調達・建設)契約を結び、同年9月に着工した。工期は27年6月まで。同社が元請けで施工した案件としては過去最大級の工事規模となる。
発電した電気を新設の変電所で昇圧した後、既設の阿武隈南変電所まで送電し、電力系統に連系する。そのため、風車輸送・据え付けや風車内電気工事のほか、変電所工事や、延長約12.3㎞の66kV自営線工事、約22.1㎞の33kV集電線工事を施工する。
この現場で困難を極めたのが、海外から調達し、小名浜港(いわき市)に揚陸した風車部材の陸上輸送だ。1基に3枚設置するブレードは1枚当たりの長さが約50mあり、発電機などを格納するナセルは重さ約83tと、大型で超重量の風車部材を特殊車両で運ばなければならない。一方で、小名浜港から現場への距離は約100㎞と非常に長い。さらに、輸送路は幅員が狭くて、曲がり角やカーブが多数。交通量が少ない夜間しか通行許可を得られない道路もある。現場条件は非常に厳しかった。
そこで関電工は、小名浜港から現場までの間に、部材を仮置きして別の車両に積み替える中継拠点を3カ所設けた。通行できない箇所は道路管理者の許可を得て道路を拡幅したり、カーブが連続して慎重な対応を要する箇所では徒歩とほぼ同じスピードで通行したりするなどしながら、道路状況に合わせて最適な車両への積み替えを繰り返すことで、安全な部材輸送を実現した。8年にわたる設計のうち、全ての曲がり角やカーブを全部材が通れるかどうかの検討に3年を費やしたという。
久松克也所長は、「難易度が非常に高い工事で、最初は一つのカーブを曲がるのに30分程度かかっていた」と振り返りつつ、「天候や現場の進捗を踏まえ、どの部材を港から出発させるかということを日々考えている。積み替えによる効率的な輸送がこの現場の一番難しいところだ」と語る。
工事の進捗率は9月末時点で78.4%。部材輸送と並行して、国内に十数台しかないとされる超大型の1200tクレーンを2台使いながら風車の組み立てを進め、全28基のうち23基の組み立てを完了した。17基は10月末に発注者へ引き渡し、11月に営業運転が始まる。残る11基は27年2月の引き渡しを予定する。
久松所長は、「1日250人の作業員が現場に入っているため、安全を最優先に、事故なく、品質の良い発電所を完成させて引き渡す」と意気込み、工期末まで1年を切った工事の安全確保に引き続き万全を期す。
