安藤ハザマは、次世代通信基盤「IOWN(アイオン)」を活用し、山岳トンネルの遠隔施工管理に向けた実証実験をNTT、1FINITY(川崎市、森林正彰社長)と実施した。粉じんや湧水がある坑内で大容量通信の安定性を確認し、1000㎞の長距離通信を模擬した環境で幅0.2mmのひび割れを遠隔確認した。複数現場の一元管理や施工自動化を支える通信基盤の構築につなげる。
山岳トンネルでは、人手不足や熟練者の高齢化、切り羽付近での災害リスクを背景に、遠隔から施工を管理する仕組みが求められている。ただ、施工判断に必要な高精細映像や大量の3次元計測データを安定的に送ることが、従来の現場ネットワークでは課題だった。
通信基盤として着目したIOWNは、NTTが提唱するインフラ構想。光電融合技術を使ってネットワークから端末までの通信全てを光ベースの技術で行う。
安藤ハザマは、IOWNによる大容量通信を現場に取り入れることで、遠方の専門技術者が坑内の映像や計測データを確認し、技術支援できる環境の実現を目指している。複数現場の一元管理による業務効率化や現場人員の最適化、AI(人工知能)による異常検知、施工解析、ロボットの遠隔制御への活用も見据える。
実証の舞台となったのは、岐阜県白川村の東海北陸自動車道椿原トンネル工事だ。3月に坑内へ光ファイバーケーブルを1100m敷設し、切り羽から100m間隔で光伝送装置6台を設置。オールフォトニクス・ネットワーク(APN)の模擬環境と坑内の光通信網、無線通信を接続して検証を進めた。
発破による振動や粉じん、湧水に対応するため、通信機器は防じん・防滴性能を備えた収容箱に格納し、壁面のワイヤにつり下げた。従来は通信が不安定になりがちな坑内でも24時間以上にわたって安定稼働を維持できた。
通信網にはカメラ15台相当の映像監視データを流しながら、約20ギガバイトの3次元計測データを坑内から現場事務所へ約1分で送信した。4K映像と音声を使った遠隔検査でも、現場と意思疎通しながらひび割れを確認でき、AI画像解析による検出にも成功している。
実証で得た成果を踏まえ、今後は複数現場、遠隔オフィス、データセンターをAPNの実網で結ぶ。遠隔監視や検査、AI解析などの検証を重ね、27年度以降の段階的な実運用を目指す。
同社技術研究所フロンティア研究部宇宙技術未来創造室の船津貴弘室長は、IOWNを使って「施工管理の新しい形を追求していきたい」と意気込んだ。
