日建設計の大松敦社長と、2027年1月1日付で次期社長に就く勝山太郎取締役兼常務執行役員大阪オフィス代表は21日、東京都千代田区の東京本社で会見し、新体制の方向性を明らかにした。勝山次期社長は「組織設計事務所として築いてきた豊富な経験や会社に息づく進取の精神を生かし、AI(人工知能)と人との共創に積極的にトライすることで経営ビジョンの実現を力強く推し進めたい」と抱負を語った。
大松社長は、「この数年は建築設計のデジタル化やAI活用などの急速な進展に伴い、建築生産のプロセスそのものが大きく変化する“歴史的変革期”にある」とした上で、「次世代が早期に経営執行を担い、変革を力強く推し進める体制構築が重要と考えた」と語った。
勝山常務を指名した理由は「建築家、設計者として多様なプロフェッショナルを束ねる十分な実績と能力を持っている」ことに加え、「数百人規模の大阪オフィスの多様なスタッフをまとめ、モチベーション向上に努めてきた」とマネージャーとしての資質の高さも評価。「屋台骨である建築設計が変革期を迎える中、本業についての深い経験と知識を持っている」ことも決め手となった。
自身は、代表取締役会長として取締役会の議長を務めることとなる。今後は「大規模投資や他業界との協働、海外法人の活性化に向けた方策などを支援していく」考えだ。
新たにかじ取りを託された勝山次期社長は「現在は、多様な専門領域の“知”を結び付けることで社会に提供する価値を広げていくことが求められている」ことを強調。「AIとの共創を進めるとともに、人だからこそ生み出せる価値を見極め、設計者の新たな役割や提供価値を明確化することが重要だ」との認識を示した。
人ならではの価値提供の鍵は「合意形成力にある」とし、「多様な関係者を一つの方向性にまとめる過程の熱意やロジック、プロセスの体験価値をクライアントに提供する経験を蓄積できる仕組みづくりを強化して若手・中堅層の成長を促したい」と語った。
25年に発表した経営計画では、30年までに受託額1050億円、収益990億円の達成を掲げている。実現のためには「成功報酬を含め、設計そのものの価値に対する理解を改めて社会に広める必要がある」と指摘。「AI活用に伴い設計のアウトプットが変われば契約内容に影響する可能性も大いにある」といい、「そのためにも価値ある設計を提供しなければならない」と力を込めた。
注力分野については「職員が興味を持った分野にフォーカスして開拓していく分野が根付いている」とし、「自発的な挑戦や個人の思いを大事にしながら設計領域を伸ばしたい」と展望した。
設計監理とコンサルティング業務は「双方に重きを置く」方針だ。「設計監理というコア事業からコンサルティングの価値が生まれる。両軸の推進による好循環を生み出せる組織を目指していく」とした。
「長い歴史を持ち、各地域で確固たる立場を築いてきた自負がある」という海外展開に向けては「インドやオーストラリアなど新地域の開拓を見据えて積極的に挑戦していきたい」とする意向を示した。
勝山 太郎氏(かつやま・たろう)1990年早大大学院修士課程修了後、同年日建設計入社。2020年執行役員設計部門グループマネージャー、22年執行役員大阪代表兼設計部門設計グループプリンシパル、24年常務執行役員大阪オフィス代表兼設計監理部門設計グループ代表を経て、25年から現職。主な実績として、中之島フェスティバルタワー・ウエスト、コンラッド大阪を手掛けたほか、グラングリーン大阪(うめきた2期地区開発事業)などにも携わった。京都府出身。65年7月29日生まれ、61歳。
