国土交通省は、元下間と受発注者間の建設業法令順守ガイドラインを改正した。改正法の全面施行で運用が始まった新たな取引ルールの留意点や法令違反となり得る事例を追加。契約当事者の対等なパートナーシップに基づく適正な取引を促す。
「元請負人と下請負人間における建設業法令順守ガイドライン」「発注者・受注者間における建設業法令順守ガイドライン」を改正した。
改正法で禁じた著しく低い労務費での見積もり・契約については、労務費の基準(標準労務費)との乖離(かいり)の度合いとその理由、元下間や受発注者間の協議状況などを踏まえ違反かどうかを個別に判断するとした。労務費が最低賃金を下回る場合は当然に著しい乖離に該当すると明記した。
見積もりで法令違反の恐れがある事例として、下請けや受注者から提出された適正な労務費に基づく見積もりを尊重せず、著しく低い労務費で見積もり変更を依頼するケースを追加。複数の建設業者から提出された見積もりのうち、最低金額での請負契約を別の建設業者に求めることも業法に触れる可能性があるとした。
建設工事標準請負契約約款に新設したコミットメント条項に関して、2次下請けが違反しても元請けの責任は不問となることを記載した。コミットメント条項に背いて技能者に適正な賃金を支払わない事業者は契約違反となるだけでなく、発注者や元請けの利益を損なった場合は同法に規定する「請負契約に関する不誠実な行為」に該当し得るとの見解を示した。
元下取引の紛争を避けるため、下請けは元請けから請求がなくても見積もりの書面交付を考慮するよう要請。契約締結に当たっては立場の弱い下請けから契約書の取り交わしを申請しにくいため、元請けによる適切な契約書の提示を求めた。
改正法で受注者にも禁止した原価割れや工期ダンピングによる契約が行われた場合、より下層の下請けにも同様の契約が連鎖し結果的に末端の技能者の賃金や労働時間にしわ寄せが及ぶため、法令違反となる契約を締結しないよう命じた。
1日に施行した中小受託取引適正化法で手形払いや振込手数料の売り手負担が禁じられたことを受けて、適用対象外の建設工事でも支払いサイト短縮などを進める必要性を強調した。
