鹿島/増築部分が揺れ抑える/制震技術●(Eの3乗)SKY開発 | 建設通信新聞Digital

2月2日 月曜日

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鹿島/増築部分が揺れ抑える/制震技術●(Eの3乗)SKY開発

建物立面図と振動モデル 
 鹿島は、既存建物の機能と耐震性を同時に向上できる増築制震技術「●(Eの3乗)SKY」(イースカイ)を開発した。増築部を既存建物に対する大重量TMD(チューンド・マス・ダンパー)として利用することで、耐震性向上を図りながら、同時に延べ床面積の拡大や用途変更といった常時の建物機能を高められる。2月から開始する同社技術研究所本館(東京都調布市)の増築制震リニューアル工事に初適用する。 鹿島は業界に先駆けて1985年から制震構造の研究を始めた。既存建物の制震改修に適した独自技術として、既存超高層建物用の大型TMD「●(Eの3乗)SKY」、中低層建物用のコンパクト型TMD「●(Eの3乗)SKY-c」などを開発し、適用を進めてきた。今回の開発技術は2022年度の日本建築学会技術部門設計競技で、既存のRC造の校舎の再生技術として最優秀賞を受賞した、増築部をTMDとして利用するアイデアを発展させ実用化したもの。
 従来のTMD制震装置と比較して、制震効果を決定付けるおもり重量を格段に大きく取れることから、既存部の補強を大幅に低減、もしくは不要にできる。変形能力に乏しい壁式であるRC造に適用可能で、経年や地震の影響などにより構造特性が変化しやすいRC造建物に適している。また、増築部の変形は一般建物と同程度であるため、増築部を一般的・低コストな材料で構成できることも強みだ。
 初適用する鹿島技術研究所本館のリニューアルは、RC造5階建ての既存部の屋上に1層を増築し、6階建てに改修する。増築部は来訪者に対するレセプションや打ち合わせスペース、開発技術の広報展示スペースとして活用する。技術研究所の所員が自席を離れ、リラックスしながら作業や交流ができるフレキシブルワークスペースとしての利用も想定する。
 増築部室内の床や室内と連続して広がる屋外ウッドデッキには鹿島独自開発の杉無垢(むく)材「KaSOLID」を採用予定。ウェルネスや省エネルギー、最新のモニタリング技術の検証などウェルビーイングな建築空間の研究に役立つR&Dのためのリビングラボとしても活用していく。