国土交通省は、AI(人工知能)でロボットや機械を自律的に制御する「フィジカルAI」を直轄土木工事や維持管理、災害対応で活用するための検討に乗り出す。まずは建設企業のニーズと、AI・ロボティクス技術を保有する企業や研究機関のシーズを把握。現場活用の方向性や開発・導入策を定め、産学官連携による研究開発や実証を目指す。 フィジカルAIは、ロボットや機械に搭載したセンサーで周辺環境をリアルタイムに把握し、AIが最適な行動を自律的に判断する仕組み。事前にプログラムされた動作を繰り返す従来のロボットや機械と異なり、より複雑で高度な作業への適用が見込まれている。
国交省は2025年12月に開かれたインフラDX(デジタルトランスフォーメーション)のコンソーシアムで、インフラ分野におけるAIの徹底活用を表明。フィジカルAIの活用もその一環となる。
フィジカルAIを実装する重点分野や開発・導入体制は建設企業やAI・ロボティクス企業、研究機関や大学と連携して具体化する。重点分野は現時点で土木施工や維持管理、災害対応を想定。建機の自動施工の高度化や除雪作業、災害時の現地調査の自動化に活用し、一層の省人化や安全性向上を見込む。
ロボットと建機それぞれでフィジカルAIの開発・導入を進める方針。ロボットは人の作業を置き換えていくイメージで、効率的な研究開発に向けて各種データの標準化や各社の協調領域となるデータ連携基盤を整備したい考えだ。
一方、建機は現在の自動施工をより高度化し、自律施工の実現を目指す。既存建機にAIやセンサーを組み込み、認識・判断能力を高める。土木研究所が整備している自動施工技術基盤(OPERA)も活用していく。
既存技術を活用して早期の実用化が見込める技術は1-3年程度、将来的に現場を大きく変える可能性があり、段階的に実用化する技術は5-10年程度での実装を目指す。
建設業界やAI・ロボティクス業界のニーズとシーズの擦り合わせに向けて、3月17日に東京都内でピッチイベントを開く。ニーズ側、シーズ側それぞれが現場の課題や保有技術を発表し、フィジカルAI活用の方向性を探る。
参加企業とはピッチイベント後も開発・導入策を検討したり、直轄工事での実証を検討したりしたい考えで、産学官連携の端緒とする。
ピッチイベントの参加申し込みは27日まで受け付けている。
