国土交通省は、官民連携によるウクライナでの橋梁修繕・更新プロジェクトの可能性を探る。ウクライナ国内でインフラの老朽化が進行しているのに加え、ロシアの軍事侵攻で被害を受けた橋梁が多数あることから、日本の高い橋梁技術を導入して修繕や架け替えを促進し早期復興に貢献したい考えだ。2月に基礎調査業務の企画競争を公告。将来的に実現可能な計画の検討を委託し、プロジェクトの可否を判断する材料とする。
国交省は、同国のインフラ復興への参画を日本企業に促すため、2025年1月に官民協議会(JUPITeR)を設立した。10月にはキーウ市内で建機の遠隔操作を実演し、政府関係者や地元企業に日本の高い技術をアピールした。
遠隔操作技術以外の分野でも事業展開の可能性を検証し、橋梁の修繕・更新に注目した。同国では、日本と同様、道路橋の老朽化が課題となっている。主要道路で貨物輸送車両の通行を禁止している橋梁もあり、国際的な物流に支障が出ている。短期間での架け替えなど日本の高い橋梁技術を生かせる可能性がある。
国交省総合政策局海外プロジェクト推進課の菅井秀翔国際協力官は「日本は老朽化の把握など要素技術の品質も高い。そういった技術もセットにできれば、将来的に日本企業の受注可能性を保つことができる。メンテナンス技術も念頭に置きながら検討していきたい」と力を込める。
2月に基礎調査業務の企画競争を公告し、事業者選定の手続きを進めている。物流や人流の要衝など、大きな効果が見込まれる橋梁を優先して案件形成の候補を選定し、政府開発援助(ODA)などスキームの検討を含めて最適な修繕・更新の方法をまとめる。案件化に向け、同国政府の担当省庁や地方自治体、国際協力機構(JICA)などとの協議も進める。実施期間は27年1月29日まで。
同国は戦禍の最中にあるが、国交省は今後の本格的な復旧・復興を見据えた官民連携による国際貢献を検討している。菅井国際協力官は「停戦してから動き出しても遅い。大きな動きがあった時に日本側が即座にプロジェクトを立ち上げられるよう案件形成に向けた準備を進める必要がある」と語る。
