お気に入りの革靴を修理に出した。入社時に母に買ってもらった思い出の靴だ。長年履き込んでボロボロだった靴が、職人の手で見事によみがえった姿を見ると、新品を買った時以上の愛着が湧く。新しいものを追うだけが豊かさではないと改めて教えられた◆大量消費社会から今はあるものを大切に使い続けるストック型社会に変わりつつある。それは単なる節約ではなく、過去から引き継いだものに新たな命を吹き込む行為だ◆延命化の思想は、公共建築の在り方にも波及している。東京都三鷹市では、建設から60年が経過した本庁舎の老朽化調査の検討に着手。いかに長く使い続けるかという視点が重視されている◆建設費が高騰する中で、建物の価値を再生させる維持管理の技術こそ、これからの建設産業に求められるのだろう。
