建設業技術者センター(CE財団、佐藤直良理事長)は、「地域建設業における監理技術者数の現状と将来の増減予測並びに技術者確保へ向けた受発注者の取り組み」と題した中間報告書をまとめた。今後10年程度の間に監理技術者の大量退職が見込まれ、増加するインフラ維持更新需要や災害発生時への対応などが懸念されると指摘。人的資源の制約を前提とした監理技術者制度の再設計が必要な段階に来ていると提唱した。
公共工事の受注件数を左右する監理技術者の充足度や過不足の地域性、災害発生時の対応能力などを把握するため、CE財団が管理する監理技術者資格者証保有者数データを基に、現状分析と将来予測を行った。そして、保有者数の減少が特に著しい北海道、徳島県を取材対象とし、受発注者双方へのヒアリング調査を実施した。
2道県ともに、建設資材の高騰や人件費の上昇などで発注件数が大幅に減っていることもあり、現状、監理技術者の減少による受注面への影響は表面化していないが、高齢化が進む中、将来的には技術者不足による受注制限があり得るほか、災害復旧工事への対応も厳しくなることが予想されるという。
全国の監理技術者は現在、50歳以上が全体の6割以上を占め、今後10-15年の間に大量退職の発生が見込まれる。監理技術者制度は、品質確保と責任体制の明確化に重要な役割を果たしてきたが、専任配置を原則とする制度設計は技術者が十分に確保されていることが前提だ。人口減少社会でその前提は崩れつつあり、2道県で見られたように、応札への判断が技術者の有無で左右される事例は、今後全国に拡大する可能性がある。
報告書は2道県の実態や全国的課題を踏まえ、国、発注者、受注者が相互に補完しながら取り組むべき方策を提示した。国には、技術者数の減少を見据えた制度の再設計を求めた上で、デジタル技術を活用した専任配置要件の合理化や資格取得支援制度の体系的整備、維持更新時代に対応する新たな能力評価の在り方検討などを働き掛けた。
また、発注時期の集中は技術者不足による不調・不落を顕在化させる一因となるため、発注者に対して、発注平準化の徹底を訴えた。企業が適正な利潤を確保し、人的投資ができる経営環境の整備なども重要とした。
受注者には、外部環境の改善を待つだけではなく、企業自らの経営戦略として人材育成を中核に据える姿勢が不可欠と指摘。特に、監理技術者候補を複数人育て、特定の個人に過度に依存しない体制の構築が重要と呼び掛けた。また、企業間連携や地域内での協力体制構築も視野に入れるべきと主張した。
