大成建設は、実工事でシールドマシン内からの機械的なビット交換に成功した。多くのシールド工事で必要となるビット交換時の地盤改良が不要となり、数カ月かけていた作業時間を約1カ月程度まで短縮できる。先行ビットの摩耗による交換作業での施工中断や安全リスクが解消され、シールドマシン単体の限界掘進距離を大幅に向上させることが可能になった。今後は大深度を含む都市部工事での積極的な活用を見込む。
地盤改良などの補助工法を伴わずにビット交換が可能となれば、1台のシールドマシンで長距離の掘進が可能となり、工期やコストの低減につながる。一方、石英分を多く含む砂地盤や巨礫(きょれき)を含む砂礫(されき)層では、地山を切削する先行ビットの摩耗(損耗)が激しく、掘進距離が制約されるほか、頻繁なビット交換に伴う施工中断や交換作業時の安全リスクが課題となっていた。
そこで同社は2021年に機械式ビット交換「THESEUS工法」、22年に「ビット交換用遠隔操作ロボット」を開発し、シールド機内から機械的にビット交換が可能な技術を確立した。従来のセンサーによる摩耗検知が困難な環境でも、ビットを取り外すことで摩耗量を直接目視で確認できるようにした。
今回、これらの開発技術を初めて「鳥羽第3導水きょ公共下水道工事(京都市上下水道局発注)」に実装した。
ビット交換用に開発した遠隔操作ロボットは、可動式マンホールを経由してカッタースポーク内に搬入され、あらかじめ設置されたレール上を自走して、遠隔操作によりビット交換作業を行うことに成功した。適用の結果、接続部からの漏水もなく、シールドマシン内とカッタースポークを一体的な作業空間として確保できることを確認した。
ビット交換ロボットを活用することで、ビット1個を約20分で交換可能であることを把握した。一連のビット交換作業に要する時間は、カッター背面受口への可動式マンホール接続に約30分、可動式マンホールとカッター背面受口のハッチ取り外しに約20分、カッタースポーク内へのビット交換ロボット搬入は約10分だった。
今後は、都市部で施工する「石神井川上流地下調節池工事(東京都建設局発注)」や、残置杭を直接切削する「なにわ筋線JR堀江シールドT他土木工事(関西高速鉄道株式会社発注)」に導入予定だ。
