人口減少と高齢化が進む日本で複合的な災害にどう立ち向かうべきか。この難問に対して大分大学減災・復興デザイン教育研究センター(CERD)は、多分野の専門家の知識と実務を高度に融合させた災害対応を提唱している。“大分モデル”ともいえるこの取組みの肝が災害情報活用プラットフォーム「EDiSON(エジソン)」だ。
エジソンは、気象や河川水位のほか、避難所の感染症発生状況や救急車の走行ルートに至る多様な情報を地図上に集約・可視化する。さらにAI(人工知能)を活用し、15時間先までの土砂災害リスクや水位を予測。現場に設置したUAV(無人航空機)ポートから自動で被災地を定期的に撮影し、3Dデータ化する仕組みとも連携する。これらの情報は、現地対策本部や関係機関にリアルタイムで共有され、データに基づく合理的な意思決定を支える。
活用範囲はそれだけにとどまらない。中小企業に水害リスクをLINEで自動配信する運用を始めたほか、国土交通省や地元自治体と連携し、地震動シミュレーターを使った実践的な防災訓練や、別府市などとの火山防災の避難計画にも注力している。
また、環境省の「脱炭素先行地域」に選定された県南3市では、防災拠点への再生可能エネルギー導入を評価するシステムとしてエジソンが採用された。これらに加え過去の災害記録をまとめたアーカイブを高校生のタブレット端末に配信し、平時の防災教育にも還元している。現在、エジソンは福岡県や愛媛県など県外の自治体にも広がっている。
被災地の道路啓開やインフラの早期復旧を担う建設業の活動にも生かされ、被災者の生活再建を早め、住民が広域避難を余儀なくされる事態を防ぐことで、地域コミュニティーを維持させることにつながる。
鶴成悦久センター長は「ハード先行のまちづくりではなく、住民との合意形成に基づく生活再建こそが重要だ」と強調する。先端技術で被災地の全体像を俯瞰(ふかん)して復興をデザインする。その際、建設業も減災社会を支える立場として、地域に精通する強みを生かし、現場に即した実践的な知見を提供していくことが求められる。
