【“とがった”技術で競り勝つ】
4月1日付でオリエンタル白石の新社長に照井満氏が就いた。プレストレスト・コンクリート(PC)橋梁分野では近年、老舗企業の買収劇が相次ぎ、業界再編の動きが強まっている。事業環境の変化に対して照井氏は「技術に特色のある“とがった”会社にならないと生き残れない。競争が激しさを増す中、競り勝つ力を高める。技術と人を大事にして、会社運営に当たっていく」と気を引き締める。今後の経営方針を聞いた。
--抱負を
「大野(達也)社長の取り組みをしっかりと継承し、さらに高めていく。2025年度までの中期経営計画、今期からの次期中期経営計画は『2030年の将来像』とする連結売上高900億円に向けたステップの時期だ。将来像の構想から約3年がたった。当時は輪郭が見えにくかった部分も徐々に解像度が上がり、達成への道筋が見えてきている。グループの売上高は現在、700億円強で推移しており、頑張れば目標に到達できるところまで来ている」
--市場環境は
「新設橋梁は漸減傾向で非常に厳しい。一方で、インフラストックは膨大になり、これをどう維持していくかが社会的な課題になっている。補修・補強のニーズは常に一定程度あると考えている」
--保全ニーズをどう取り込むか
「少子高齢化で維持・補修が課題になる中、包括管理のニーズが出てくると思われる。われわれは、設計、製造、施工、補修・補強ができることが強みだ。この四つに横串を刺して需要に備える。また、維持補修の経験は新設案件にも生きる。どこが弱点となるのか、どこに力を入れるべきなのか。こうした観点から、質の高い提案、施工を進める」
--業界内での勝ち筋は
「治水事業にいかにコミットしていくかが鍵になる。昨今は気候変動の影響から、ゲリラ豪雨が頻発している。これを受け、東京都では緊急時に一時的に地下空間に水をため、その後、排出するための治水工事が盛んに行われている。首都圏のポンプ場需要は旺盛だ。国土強靱化でも、かなりの予算が付いている。PC橋梁に加えてニューマチックケーソン工法を生かし、治水需要を取り込んでいく」
--研究開発の方向性は
「技術開発には力を入れており、売上高に対する研究開発費比率は1%を大きく超える水準だ。一般に1%を超える企業はそう多くない。昨年10月には、コンクリート製品製造拠点である滋賀工場をリニューアルして、今後のプレキャスト需要に備えている」
「技術的なハードルはあるが、ニューマチックケーソン工法とプレキャスト製品を組み合わせ、現場打設を行っている構築部分をプレキャストに切り替えられれば、急速施工が可能になる。ニューマチックケーソン工法は設備・機械を多く使用するため、自動化や遠隔化と非常に相性がいい。従来から取り組むこうした研究も加速させていく」
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(てるい・みつる)1987年3月東北大工学部卒後、同年4月三井建設(現三井住友建設)入社。2000年4月オリエンタル建設(現オリエンタル白石)東北支店工事部工事チーム、22年6月オリエンタル白石取締役兼執行役員土木事業本部長、25年6月取締役兼常務執行役員経営企画部長などを経て、4月から現職。岩手県出身。63年8月16日生まれ、62歳。
【記者の目】
夫人とレコードを聴きながら酒を楽しむのが息抜き。義父が愛した遺品のレコードシステムを、今も2人で大切に使っている。もともと音楽好きの夫婦だそう。音楽の趣味もよく似ているという。子どもが独立し、今は夫婦2人の生活。「ゆっくり音楽に耳を傾けたり、温泉に行ったりしている」。穏やかに語る姿に、家庭を大切にする人柄がにじむ。
