建設業で課題の一つとなっている長時間労働が、是正に向けて推移していることが分かった。厚生労働省が8日に公表した2026年3月の毎月勤労統計調査(速報値)からの試算や、これまでの同調査の確報値から、建設業の労働時間の推移を年度ベースで比較してみると、総実労働時間、残業時間に該当する所定外労働時間ともに年々減少している。
建設業でも24年度から他産業と同様、時間外労働の罰則付き上限規制が始まった。建設需要が高まる中で、当初、この規制強化に対応できるのか、違法状態にならないのか、懸念する声も聞かれたが、業界や企業の努力もあって、国のデータからは残業時間に限らず、労働時間全体で短縮傾向が見て取れる。
新型コロナウイルスの影響が本格化する前の19年度の建設業の総実労働時間は、前年度より1.5時間短い168.2時間。うち所定外労働時間は、前年度より0.4時間長い14.7時間だった。関係者の努力のかいもあって、上限規制開始直前の23年度は、総実労働時間が前年度より0.4時間短い163.4時間、所定外労働時間も0.4時間短い13.4時間まで短縮した。
規制開始後の24年度も労働時間の短縮は続き、特に所定外労働時間が13時間を割り込む12.5時間となった。25年度は現段階で全て速報値ベースでの試算となるが、総実労働時間が160時間を割り込む159.7時間となり、所定外労働時間も12.5時間に減少している。
国は、建設業の担い手確保に長時間労働の是正や週休2日の確保が欠かせないと考え、それを実現する適正工期を設定できるようにするための「工期に関する基準」を20年に策定(24年改定)している。この取り組みを進めるには、発注者の理解と協力を得ることが欠かせない上に、建設業者による生産性向上などの自助努力も必要だ。
その企業側は残業時間の短縮などに向けて、建設DX(デジタルトランスフォーメーション)による生産性向上や、外注による人員の確保、バックオフィスの活用などの対策を講じているため、それに掛かるコスト増の負担も大きいとの声が聞こえてくる。最近は柔軟な働き方を求め、1年単位の変形労働時間制が建設業でも使い勝手が良くなるように運用の改善を求める声も高まってきた。
ただ、建設業の労働時間が短縮傾向にあっても、主要16産業の24年度(確報値)の総実労働時間136.3時間、うち所定外労働時間10.0時間と比べると、建設業は総実労働時間が20時間以上、所定外労働時間も2時間以上、まだ長い。建設業の労働時間のさらなる短縮に向け、企業側のコスト負担軽減や、柔軟な働き方を実現する制度の在り方などが課題といえる。
