厚生労働省は13日、「個人事業者等安全衛生推進協議会」の初会合を開いた=写真。2025年5月公布の改正労働安全衛生法・作業環境測定法で、労働者と同じ場所で働くフリーランスや一人親方などの“個人事業者等”にも労働災害防止対策を広げることになり、それを関係団体が連携する同協議会で推進する。改正法の周知やそれを分かりやすく伝える教材などの作成、団体主催の説明会への講師派遣などに取り組む。座長には、鹿野菜穂子慶大名誉教授が就いた。
開会に当たり厚労省の安井省侍郎安全衛生部長は、同法改正で制度的枠組みを整備したものの、「制度を整えるだけでは現場の安全を守れない」ことを強調。行政からでは届きにくい個人事業者と接点のある関係団体の理解と協力を得ながら活動を推進することで、職場全体の安全衛生対策の取り組みを「一歩でも前に進めたい」と語った。
メンバーは労働災害防止5団体と、建設、運送、林業、農業、製造、港湾、軽貨物、IT、芸能など幅広い分野の関係事業者26団体で構成。活動の目的に3点を挙げている。一つ目が、関係団体を通じた安全衛生に関する情報共有ネットワークの強化だ。二つ目が、各団体への個人事業者の加入を促進すること。最後に、安全衛生に配慮した取引慣行の促進を挙げている。
この取引慣行については、労働災害の背景に無理な納期や不十分な安全衛生経費も関係していると考えられるための対応となる。現場だけでなく、契約や発注の段階から安全衛生の確保が必要と考え、関係団体から意見を聞く。
初会合では、「個人事業者等の安全衛生確保支援事業」を了承した。団体説明会への講師派遣、現場へのコーディネーター派遣による現場支援、そのための講師やコーディネーターの養成研修会の開催、教材等検討会の設置などを柱としている。関係法令や安全衛生活動の説明会、個人事業者に対する現場での技術支援を7月から開始する予定だ。広報活動ではチラシ、3分間の案内動画、15秒の短縮広告動画を作成する。特設サイトも設け、AI(人工知能)チャットボットを導入し、6月中旬ごろの公開を予定している。
厚労省側は最後の意見交換を踏まえ、業種別対策は細かく分けすぎても運用が難しく、逆に大くくりすぎても実効性が低いため、その対応策に言及。共通する安全衛生対策を「モジュール化」し、それらを組み合わせて業種ごとのパッケージを作ることも考えられるとした。芸能の大道具と建設のように、異なる業種でも作業内容に共通点がある場合は、ノウハウを共有できる可能性も指摘した。
構成団体は次のとおり。
〈労働災害防止団体〉
▽中央労働災害防止協会▽建設業労働災害防止協会▽陸上貨物運送事業労働災害防止協会▽林業木材製造業労働災害防止協会▽港湾貨物運送業労働災害防止協会。
〈関係事業者団体〉
▽日本商工会議所▽全国中小企業団体中央会▽全国商工会連合会▽日本労働組合総連合会▽全国農業協同組合中央会▽日本農業法人協会▽日本農業機械化協会▽全国農業会議所▽全国森林組合連合会▽全国素材生産業協同組合連合会▽日本建設業連合会▽全国建設業協会▽建設産業専門団体連合会▽全国中小建設業協会▽住宅生産団体連合会▽全国建設労働組合総連合▽全国造船安全衛生対策推進本部▽全国軽貨物協会▽全国赤帽軽自動車運送協同組合連合会▽日本イラストレーション協会▽フリーランス協会▽ITフリーランス支援機構▽日本芸能従事者協会▽日本フードデリバリーサービス協会▽日本フリーランスリーグ▽全国労働保険事務組合連合会。
