【比国現法、ローカル案件へ軸足/受注構成の2割から4割に】
国内市場の成熟に直面するゼネコンにとって、海外建設事業の成長は重要課題の一つだ。現地に進出した日系企業に加え、現地企業からの受注はさらなる成長の一手となる。東洋建設のフィリピン現地法人、CCTコンストラクターズ・コーポレーションが設立から50年を迎えた。受注のローカル比率は4割に達し、現場を束ねる作業所長の多くをフィリピン人が占める。東洋建設のマニラ営業所もODA(政府開発援助)を通して経済発展が続くマニラの水害対策に取り組んでいる。現地に根付く人材をどう育て、どうつなぎ留めるか。海外展開の要諦を探る。
フィリピン・マニラ市のホテル・デュシタニマニラに7月10日夜、東洋建設やCCTの関係者ら約300人が集まった。東洋建設のフィリピン現地法人「CCT コンストラクターズ・コーポレーション」の設立50周年を祝う式典だ。
現地取引先や関係者が見つめる中、壇上に立ったCCTの二木要社長は「社員の成長と地域社会への貢献を通じ、フィリピンでナンバーワンの建設会社になる」と決意を述べた。その「ナンバーワン」は、単純な規模ではない。「日本の規律と品質へのこだわりとフィリピンの人々の思いやり・チームワークを結び付け、従業員満足度と顧客満足度のナンバーワンを目指す」という次なる節目への未来像だ。
CCTは1976年7月、フィリピン最大手のゼネコンとの共同出資で設立。日系ゼネコンとして同国で最古参だ。以来、日系・欧米系企業を中心に産業・商業施設など310件以上、延べ210万㎡を超える案件を手掛けてきた。2025年度売上高は約112億円の規模。従業員326人のうち、日本人は16人と少数だ。
この半世紀の間に受注構成が大きく変わろうとしている。新型コロナウイルス感染症が世界的に流行して以来、ビジネスをけん引してきた日系企業の新規進出は大きく減った。日本からの引き合いが少なくなる中で、同社は現地企業の案件の受注にかじを切った。数年前まで2割だったローカル案件の比率は、足元で4割に達している。
充実してきた現地企業発注の実績やCCTのホームページを通したデジタル面での発信、営業に取り組んできた成果もあって、ローカル企業からの引き合いが増えている。発注を受ける現地企業は、留学などで国外をよく知る2代目経営者が増え、日本の製造業との取引経験を持つ層もいる。こうした経営層は、工期順守と品質管理の確実さを重視する。現地の他社と比べて、CCTの最終的な工期は半分に収まるという評価もある。
背景にあるのがフィリピン経済の高成長だ。ここ数年、国内総生産は年5%程度の伸びを続け、内需向けの建設需要は旺盛だ。CCTはそんな中で民間建築における存在感を高めている。
二木社長は35年をめどに、売上高と組織を現在の3倍へ拡大する目標を掲げた。都市部ではホワイトカラーが増え、調理の手間を省く冷凍食品の需要が伸びている。冷凍倉庫やデータセンターなど新分野への参入や、建設した施設を自ら賃貸する事業も見据える。
同社は、成長を支えるフィリピン人の担い手を重要視してきた。コロナ禍のロックダウンで現地の建設業が2-3カ月停止した際には、多くの日系企業が日本人を帰国させた。その中でもCCTは、数人が現地に残り本社との連携を保ちつつ、従業員には給与を満額払い続けた。「こうした従業員の生活を大切にする考え方を、転職が当たり前の同国でも堅持してきたことが現在の高い定着率につながっているのではないか」とみている。
実際、30年を超えて働く現地社員も少なくないという。記念式典では、長年の勤続による社業への貢献をたたえる表彰も催された。日本では珍しくない永年勤続表彰だが、フィリピンではまれだ。壇上では感極まった様子の表彰者も見受けられた。式典で掲げた「ナンバーワン」は、こうした共に働く人を意識した言葉でもある。
(次回から3面に掲載します)
