【経営の重点事項は?/鉄道工事の強み 一層強化】
東鉄工業は、2028年度を最終年度とする中期経営計画「アクションプラン2029」の達成に向けた経営のかじ取りが続いている。その中で取締役兼常務執行役員経営企画本部長に就いた中村賢史氏は、「経営計画の策定や進捗(しんちょく)管理にとどまらず、財務・資本政策、経営資源の配分、グループ経営、サステナビリティー、情報発信などを総合的に結ぶ付けることが役割だ」と語る。強みや足元の課題、今後の重点事項などを聞いた。
--就任の抱負は
「銀行出身者として客観的に東鉄工業グループをみてきた。安全・安定輸送を支える力をさらに高め、顧客や社会にとって一層、なくてはならない会社になるよう強みを一層、強化していきたい。施工の機械化による人員効率の向上、東鉄工業・グループ会社・協力会社の三位一体の経営のさらなる強化による施工基盤の強化、鉄道工事業界のプラットフォーマーとしての役割確立にも取り組む」
--グループの強みは
「鉄道工事の高度な専門技術があり、時間的・環境的制約条件がある中でも工事をやり遂げる現場の力や協力会社との信頼関係が一番だろう。それがあるからこそ、特命受注の多い仕事を設計から維持管理まで網羅的に執行し、高い営業利益率を確保できるビジネスモデルが成り立っている。ここをさらに強化していきたい。そのために最も重要なことは、安全・品質・コンプライアンスの確保や順守であり、この会社存立基盤を強固にしなければならない」
--市場環境は
「JR東日本のメンテナンス工事やホームドア設置、耐震補強などの需要が増加しており、好調を維持している。新幹線構造物の大規模改修プロジェクトなど長期的な事業機会にも恵まれている。コロナ禍には施工体制の維持で難しい面が出ていたJR東日本以外の民間鉄道会社からのメンテナンス工事の引き合いも増えている。駅ホーム上家の耐震補強工事における無溶接化工法やホームドア工事の鋼製覆工板の開発などは、派手な技術ではないが、工期短縮やコスト低減につながる技術であり、ビジネスモデルを補完する差別化戦略の観点も重要な存在になっている」
--足元の課題は
「需要は豊富だが、それに対応できる施工体制を確保しなければならない。人手不足と技能継承が今後の最大の制約要因だ。協力会社との連携を深め、採用、育成、処遇改善、機械化、DX(デジタルトランスフォーメーション)を一体的に進め、少ない人数でも需要に対応できる企業になる必要がある」
--財務的な戦略は
「ROE(自己資本利益率)の向上も重要だが、加えて、ROIC(投下資本利益率)からWACC(加重平均資本コスト)を引いた『スプレッド』を高めることが事業戦略策定上の軸になる。スプレッドの向上に寄与するような、事業の強みの強化に寄与する投資を増やしていくべきだ。そうした成長ストーリーを固めていきたい」
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(なかむら・けんし)1986年3月東北大経済学部卒後、同年4月富士銀行(現みずほ銀行)入行。北沢支店長、みずほフィナンシャルグループ企画グループ管理部長などを経て、2017年7月に東鉄工業入社。執行役員建築本部建築営業部長、常務執行役員業務改善推進本部長兼経営企画本部副本部長兼DX推進室長などを経て、6月から現職。休日は山へ出かけて草花、樹木、野鳥などを観察する。62年9月23日生まれ、64歳。
