東京大学と大成建設は1日、同大学大学院工学系研究科(津本浩平研究科長)の付属施設として「プラネット・フロンティアイノベーション研究センター(PFI研究センター)」を開設した。直接観測や作業が難しい深海・大深度地下などの未踏領域と、老朽化が進む都市インフラ・建築ストック内部を「極限環境」として共通の学理で捉える。大学の学術知と建設技術を融合し、4次元透視などの先端技術を駆使して、人類の活動領域拡大と持続可能でレジリエントな社会実現を目指す。
センターの運営基盤は、大成建設からの寄付金10億円を原資とする大学独自基金(エンダウメント)の運用益となる。東京大学のエンダウメント型研究組織への参画は、ゼネコンとして初めての取り組みとなるという。従来の期間限定のプロジェクト支援とは異なり、期限を設けず長期・安定的に研究教育活動を継続できる体制とした。
19日の記者会見で東京大学の藤井輝夫総長は、今回の支援の意義について「研究を生み出すだけではなく、それを担う人を育て、そして新しい学問そのものを大学に根付かせていく。10年、20年という長い時間軸で新しい学問と人材を育てる」と述べ、短期的な成果にとどまらない学術基盤の構築に期待を寄せた。
大成建設の田中茂義会長は、「大成建設という一社の業績の向上や、直接的な成長は考えていない。建設技術を通じた地球的課題解決に向けて、永続的な研究体制をつくる」と強調。大学の学術的自律性を尊重しながら、自社の建設技術や現場の知見・施設を融合させ、長期的なパートナーとして支援するとした。
センター長に就任した工学系研究科の石田哲也教授は、インフラの老朽化など海外でも同様の動きが出始めている世界的な潮流に触れ、「世界的に見ても、いち早くセンターができたことは非常に大きな意味を持っている。アドバンテージを生かして、国際共同研究や頭脳循環などを積極的に進め、東京大学にPFI研究センターがあるということを発信していきたい」と語り、グローバル拠点化への意欲を示した。
今後、同センターは公募による専任教員を複数配置して新たな学術分野を大学に定着させるとともに、国内外の大学や企業、スタートアップ(新興企業)などとの連携を通じて、イノベーションエコシステムの形成を図る。
