熊谷組は、土砂搬出などで多用されるアーティキュレートダンプトラック(ATD)の協調自動運転に成功した。21日、自動走行型ATDを実際のダム現場に複数台導入し、同時走行を成功させた。建機同士の協調制御にはAI(人工知能)を使った仮想信号方式を採用しており、今後は現場環境変化への対応能力などを強化し、各種建設機械を含めた自動化による災害対応にもつなげたい考えだ。
実証現場ではATD2台と遠隔操作可能なバックホー1台を投入。一連の土砂搬出を作業員1人で実施した。実証は、大切畑ダム工事の作業所(熊本県西原村)で行った。
現地から約1000㎞離れた拠点では、スタッフが遠隔コックピットからバックホーを操作し、下準備が進む。そこへATDが自動走行で近づく。操作員はATD自動走行から遠隔操作に切り替え、2台の建機を動かしながら積み込みを進める。作業が終わるとATDは再び自動走行で土捨て場へと向かう。最後は再び遠隔操作に切り替え、荷台から土砂を下ろした。
ATDは、車体中央に関節を持つ特殊なトラックで、旋回性が高く不整地にも強い。山岳トンネル工事やダムなどの搬出作業で多用されている。同社は、同トラックの自動化走行を目指している。
複数台の車両を自動走行させる際には、「膠着(こうちゃく)状態」が生じるリスクがある。車両同士が周囲を「危険」と判断することなどで、その場から動かなくなる現象だ。こうした問題を解消しようと、同社ではAIを使った仮想信号方式と呼ばれる制御方法を採用しており、今回、現場での複数台同時自動走行に成功した。
仮想信号方式では、始めに人間がトラックに乗車して走行。これをAIが“手本”と認識し、現場を模したデジタル空間上に走路や信号、道路標識を生成する。本作業が始まると、 自動走行する各車両のAIがデジタル空間につくられた「走行ルール」に従い、現地の状況に応じて停止や加減速、速度制御を判断する。
同社は今後、仮想信号方式をATD以外の重機にも適用する考えだ。現場のさまざまな重機の自動走行・協調作業を進め、少人数での現場管理・運用を目指す。合わせて、状況変化への対応能力を強化し、環境変化が激しい災害現場での適用も視野に入れる。
