普建費/3政令市で30%超増加/防災・減災、施設再構築に注力/1都8県5政令市予算案 | 建設通信新聞Digital

5月21日 火曜日

行政

普建費/3政令市で30%超増加/防災・減災、施設再構築に注力/1都8県5政令市予算案

 関東甲信1都8県5政令市の24年度予算案が22日に出そろった。一般会計は1都5政令市、普通建設事業費は1都5県4政令市が増加した。普通建設事業費が二桁の伸びとなったのは、千葉県、相模原市、さいたま市、千葉市で、特に3政令市は30%以上の大幅増となった。相模原市は公共施設の長寿命化対策、さいたま市と千葉市はごみ処理施設整備の費用が増加した。千葉県は防災減災対策や県有施設の長寿命化対策が事業費を押し上げた。能登半島地震を踏まえた防災・減災対策強化を打ち出す自治体が多く、激甚化する自然災害に対応するための治水対策を強化する動きも目立つ。施設の再構築に予算を確保する自治体も増加した。 東京都は、TOKYO強靭化プロジェクトに前年度より251億円増の7609億円を計上した。気候変動を踏まえた豪雨対策として、境川中流第三調節池(仮称)、城北中央公園調節池(二期)に着工する。埼玉県は、流域治水対策に注力し、昨年6月に大規模な内水被害を受けた中川・綾瀬川流域での河川管理施設整備に向けた調査・検討に着手する。新たにドローンによる上空観測を実証実験し、災害発生初期の対応力を強化する。
 長野県は、能登半島地震を踏まえて地震防災対策を強化する方針を打ち出す。多くの山間地域を抱える県内では多数の孤立集落発生が懸念されるため、市町村や有識者の意見を踏まえて全県の防災対策を検証し、9月をめどに具体的な施策を示す方針だ。必要経費は補正計上し、順次対策に着手する。
 神奈川県も能登半島地震で得られた課題や教訓を踏まえた新たな地震防災戦略を策定する。群馬県は地震被害想定調査に新規着手し、地域防災計画や備蓄計画などに反映する。
 大規模事業も予算化された。さいたま市は、合併以来の懸案事項となっていた新庁舎計画の具体化に向け、24年度早期に基本設計事業者を選定する。31年度の移転・供用を目指す。川崎市は、PFIのBTO(建設・譲渡・運営)方式採用を予定する中央卸売市場北部市場の更新・機能強化に向け、32年間の債務負担行為を設定した。夏に総合評価一般競争入札を公告し、24年度中に事業者を決定する予定だ。千葉市は、千城台公民館・若葉図書館再整備に向け、基本・実施設計費を計上した。千葉県は老朽化する保健医療大学の機能強化に向けた調査に着手、長生合同庁舎再整備事業の債務負担行為も設定した。
 人口減を見据えた新たな戦略を模略を模索する動きも見られる。横浜市は、京浜臨海部への研究開発機能などの事業用地創出に向けた誘導策を検討する。栃木県は、半導体や蓄電池といった特定重要物資などの関連企業の誘致・支援を展開するため、関連企業の設備投資見通しや工場立地の意向に関するマーケティング調査を開始する。