技能者大幅減少に危機感/トンネル工事自動化へ/現場実装求める/日建連 | 建設通信新聞Digital

5月19日 日曜日

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技能者大幅減少に危機感/トンネル工事自動化へ/現場実装求める/日建連

トンネル切羽作業員の年齢構成
トンネル切羽作業員の年齢分布と10年後の予測
 建設技能者の高齢化と離職者の増加が進む中、日本建設業連合会(宮本洋一会長)は、まだ標準化に至っていない新技術・新工法の現場実装に向けた要望活動を展開する。特に、他工種に比べて技能者の高齢化が深刻なトンネル工事について、自動化技術を採用する試行工事の早期導入を発注機関に求めていく。
 全建設業就業者の半数を50歳以上が占め、さらにそのうちの半数以上は60歳以上となっている。高齢化の進展で就業者数の減少が著しい中、新技術・新工法の導入による生産性向上の必要性が高まっている。中でも、多能工の熟練技能者を必要とするトンネル工事は、高齢化による技能者の減少が特に深刻化しており、今後、工事の履行に大きな影響を及ぼすことが懸念されているという。
 日建連の会員調査によると、トンネル切羽作業員の年齢構成は、40歳以上が全体の76%を占め、このうち50-59歳が33.6%、60歳以上が10.9%となっている。熟練技能者(経験年数平均値+5歳)に限ると、40歳以上は全体の94%に上り、うち50-59歳が45.7%、60歳以上が13.0%を占める。
 日建連の山岳トンネル自動化専門部会所属会社の協力会社12社における作業員数は、2024年時点で987人となっているが、10年後の34年には、24年比で24%減となる754人へと大幅に減ると予測されている。
 ゼネコン各社では、トンネルの自動化施工技術などの研究開発が進むが、コスト面などを含めて現場実装へのハードルは少なくない。
 日建連は、高齢技能者の大量退職に備えた生産性向上が不可欠と指摘。ICT活用工事やBIM/CIM原則導入と同様に、新技術・新工法の導入に当たり、発注者が必要経費を負担する仕組みの検討を働き掛ける方針だ。