
国土交通省は3日、今後の建設業政策を議論した有識者勉強会の取りまとめを公表した。将来の生産年齢人口の減少が確実視される中、建設業が産業として持続的に発展するため、「これまでとは次元の異なる対応」が必要になると強調。国民や社会からの「信頼の確保」、業界全体による「生産システムの高度化・効率化」の二つの視点を軸に、人材育成や経営力強化、重層下請け構造の改善などで取り組むべき政策の方向性を整理し、具体化に向けて建設業関係者が一体で検討する場を立ち上げるよう提言した。
取りまとめでは、第3次担い手3法の全面施行後も残る建設業の課題として、重層下請けに代表される「産業構造」、請負契約におけるコストの不透明性などの「契約慣行」、日給制といった「働き方」を列挙。産業の持続に向けて、国民や社会からの信頼確保、企業経営や業界構造も含めた生産システムの高度化・効率化が一層重要になるとした。
目指すべき建設業の将来像として、労働市場から選ばれる「人を大事にする産業」、各社が人材やDX(デジタルトランスフォーメーション)に投資して高い生産性と労働分配率を実現できる「真に経営力のある産業」、成長産業として発展する「未来に続く産業」の三つを提示し、その実現に必要な政策の方向性を打ち出した。
労働市場で選ばれるため、技能者の月給制への転換を促す支援策を求め、「業界の新たな当たり前とする覚悟」で取り組むよう要請した。限られた人材を活用するため、より柔軟な働き方や労働力の融通に関する検討を加速すべきとした。
人材育成は個社のみでは限界があるとし、業界団体による専門教育をはじめ、業界全体での支援体制の構築を提起。AI(人工知能)などの普及を見据えたリスキリング体制の整備も必要とした。
技術者制度についても、企業単位での適正な施工確保をベースとする現行制度を見直し、チーム力の最大化や現場単位での最適化といった視点を取り入れることを求めた。
経営トップが現場作業を行う中小事業者に対し、適切な経営に必要な情報を発信して経営力の強化を促すことを提案。業界団体に対しても各社の経営強化に向けた支援を要請した。
企業統合やホールディングス化は、投資余力や人材の確保、弱点の補完といった観点から地域中核企業でも合理性があるとし、支障となり得る制度の見直しを求めた。相談窓口の設置や事業者マッチングなど事業承継に対する支援も強化すべきとした。
過度な重層下請け構造を是正するため、規制やインセンティブの観点で産業政策としての選択肢を検討するよう要望した。物価上昇局面などでコストプラスフィー契約の導入を検討するよう提案した。
目指すべき将来像の実現に向けて、経営事項審査や建設業許可といった企業評価は有効なツールと強調。企業の成長性や処遇改善を評価する項目や、評価結果の民間工事での活用、専門工事企業を対象とした評価についても検討を求めた。
取りまとめをベースとした政策立案に当たっては、土木と建築、都市と地方、業種や職種、技術者と技能者の違いを念頭に、きめ細かく実態を把握・分析することを要請した。
