中東情勢の悪化は、各国のさまざまな産業・民生分野に影響をもたらしている。多くの派生製品を生み出す原油の価格上昇はその代表格だ。地球全体から見れば、小さな点に過ぎないホルムズ海峡。そこを航行できなくなるだけで、世界中が影響を受けてしまう。パナマ運河なども含め、世界中にはボトルネックとなり得る地形が複数ある。当然、有事にはそれが強力な武器や致命的な弱点となる。
ガソリン価格の上昇に対する日本政府の対応、元売り各社への補助金支給には、毎度賛否が集まる。財政支出の規模や、政府介入自体が市場原理を阻害するとの指摘もある。米の価格上昇にも備蓄米放出という形で介入したが、これにも賛否あった。
もちろん、政府介入による効果を否定するつもりはないが、対象品目の不公平感も、いつも話題となる。日本の主要穀物である米との単純比較は難しいが、野菜や魚など農林水産品の価格も、天候など自然環境の変化に大きく左右される。キャベツが値上がりするたび、とんかつ屋がかわいそうになる。一方、白菜が値上がりした際、近所の中華料理屋は、中華丼の白菜をキャベツに代えた。機転を利かせた企業努力であり、そして非常に美味でもあった。
話を戻すが、各国の資源調達先や商圏、サプライチェーン、人材を含めて、企業活動の多くがグローバル化したことによって、遠く離れた国の戦争は、もはや対岸の火事ではなくなった。
建材などを含めた石油関連製品の値上げが相次いでいる。代替キャベツのような企業努力でカバーできなければ、値上げしか選択肢はない。こうした状況であれば、顧客も一定程度の値上げは受け入れざるを得ないだろう。建設会社にとって建材は主要穀物の一つであり、値上がりしても購入の見送りはできない。価格転嫁の風潮も背景にある。
しかし、双方にとって最も困るのは、製品の供給が完全にストップしてしまうことだ。メーカー側だけでなく、顧客にとっても死活問題となる。
今月13日、住宅設備大手メーカーが、ユニットバスや浴室などの新規受注を停止するとのニュースが流れた。再開時期も未定らしい。メーカー側は、売上計上が停止する上、生産体制も狂う大打撃だ。
そして顧客側。ただでさえ価格が高騰して供給が絞られている新築マンションだが、こうした状況では新規の開発計画も立てにくい。一方、既存マンションの大規模改修や戸建住宅のリフォーム事業などへの影響も懸念される。
話は変わるが、戦争に関しては先が見えない話ばかりではない。戦火に見舞われたウクライナの復興支援に向けた動きが、日本国内でも動き出している。国土交通省とウクライナの地方・国土発展省は、建機の遠隔施工などに関する協力趣意書に署名した。
一方、日本PFI・PPP協会は、ウクライナの官民連携支援庁とPPP分野の協力に関する覚書を結んだ。協会は、国内の地方自治体や民間企業などと連携し、PPP案件の発掘を進める方針だ。戦争には暗いニュースばかり付きまとうが、国内でのこうした取り組みには希望がある。
